「今現在のコーヒートレンドと言えば、ドリップやサイフォンなど、日本の抽出方法の多様性に影響を受けた西海岸のコーヒー好きが、抽出方法の重要性に着目し、豆の品質にこだわったカフェを展開するようになったサードウェーブと呼ばれるもの」コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか

日本の多様な抽出方法に影響を受けたアメリカのコーヒー好きが、本国で展開し始めたのが、現在のサードウェーブ。アメリカのコーヒー関係者が驚くのも無理はありません。

例えると、日本の寿司文化に影響を受けたアメリカ人が同じような寿司を作ってみたら、日本で行列ができ、メディアで特集されるほどの人気になったというもの。

川島さんがカリフォルニアのサードウェーブコーヒーショップを訪れた時、大変驚いたことがあったそう。そこでの抽出技術はお粗末なもので、「見かけ重視のやっつけ」だったのです。

バリスタがペーパードリップにお湯をなみなみと注ぐと、バースプーンを持ち出してコーヒーをかき混ぜ始めました。川島さんがなぜそうするのか聞くと、「これが正式なやり方で、こうするとおいしくなる」と答えたそうです。また、どこでこの技術を覚えたかの問いには、「ユーチューブ」。これには川島さんは本当に驚いたといいます。

川島さんが帰国後に、日本の抽出器具のメーカーに対して、どうして正式な抽出技術を彼らに教えながら売らないのかと聞くと、「あれが格好いいと思って使っているわけですし、売れているからいい」とのこと。

コーヒーの豆の種類によっては、混ぜることでより良い香りを楽しめるかもしれませんが、「何もかも混ぜること=サードウェーブ」ではありませんよね。

一杯のコーヒーをゆっくり淹れることや、のんびり過ごす時間については筆者も好きなのですが、このサードウェーブというコーヒー文化はまだ発展途上なのかもしれません。

この文化が醸成されると、日本に入ってくる情報も変わりますし、また、それと同時にサードウェーブ系男子も進化していくのではないでしょうか。今後の展開が楽しみというのが、筆者の見解でもあります。

【参考書籍】
『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味しいのか』川島良彰著(ポプラ社)