【コミック】“ガンダム世代”に贈る重量級SFアクション『redEyes』

2011.10.27 20:30

ヌルい萌えは一切なし。男のロマンが随所に感じられる、硬派で熱いSFアクションコミック『redEyes』の書評です。

【質問1】いくつ当てはまりますか?
・初代『ガンダム』の興奮が今でも忘れられない
・どちらかといえば地球連邦よりジオン派
・『ボトムズ』なんかの泥臭さも好き
・人型兵器は男のロマン
・最近の漫画やアニメは、安易な萌えに頼りすぎていると思う


【質問2】いくつ心に響きましたか?
・有視界戦闘まで退化した未来の戦場
・人間サイズのパワードスーツ、SAA(Special Assult Armor)
・圧倒的な物量の前に敗北した祖国
・裏切り者の汚名を着せられた、戦場の英雄
・誰も使いこなせずコンペで落選した、最強の試作SAA
・自分を陥れた者への復讐を果たすために脱獄
・最新鋭のSAAを敵基地から奪い、再び戦場へ…


――いかがだろうか?
いくつかの項目にピンと来たら、それは何歳になっても“少年”の心を忘れていない証拠だと思う。そんな人にぜひお勧めしたいSFアクション漫画が『redEyes』だ。

redEyes
神堂潤
講談社
530円
<セブンネットショッピングから購入>

 

 

 

 

舞台は統合暦182年という架空の未来。“死神”とあだ名された最強の兵士、グラハルト・ミルズが主人公。祖国が大国との戦争に敗れ、おまけに部下から裏切られて投獄、もうじき死刑執行という絶望的なところから物語はスタートする。

やがて個人の復讐劇から国家レベルの戦闘まで発展していくわけだが、個人的にはストーリーよりも世界観&メカニックのマニアックさを最大限に評価したい。

意味もなくロボット兵器が出てくる他作品と違い、この世界観では「制御不能の衛星レーザーが宇宙空間に残っている」という設定がある。これにより弾道ミサイルや高々度爆撃機などが使えず、人類はもっぱら地上での近接戦(有視界戦闘)に頼るしかない、というわけだ。

そこで本作最大の特徴ともいえる人型パワードスーツ“SAA”の出番となり、この設定もなかなか凝っている。主人公サイドのSAAは高い性能を誇る反面、生産性が低く消耗戦に弱い。一方の敵サイドは低スペックのSAAを大量生産してくる。陣営ごとのSAAも、通常の量産機・火力と装甲を強化した拠点防衛機・エース用のカスタム機体などバリエーション豊富である。

とりわけ主人公があるエピソードにて乗り換えたSAAは世界に一体だけの特別製で、開発者のエゴが先走った結果「並のエース程度では扱えない超・超高性能機」として仕上がっている。これら個性あふれる機体を各陣営のトップエースたちが身にまとい、縦横無尽に駆け回る戦場……男子ならば脳内物質を吹き出しつつ興奮せざるを得ない。

設定の細かさといえば、コミックス末尾にある設定資料集も情報量が豊富だ。たとえば第1巻では6ページの余剰をフルに使い、国家の成り立ちから統治制度、地名、戦争時の進軍ルート、1日単位での戦闘経過などを詳細に解説している。ここまで世界観を練り込む作者の創造性とプロ根性には頭が下がるばかりだ。

作者のこだわりは設定だけにとどまらない。掲載誌(『マガジンイーノ』)が隔月刊で作画時間に余裕があるためか、メカの描き込みが異様に細かい。週刊や月刊誌のロボット漫画によくある「デザインを簡略化して作画の手間を減らそう」という発想は、この人には存在しないらしい。人物デッサンがたまに微妙なときもあるが、メカ描写に関してはそのまま画集に収録してもおかしくない水準だ。これだけでも読んでみる価値は十分にある。

なお、昨今はライトオタクを演じて女子人気を集める“A-BOY”“ちょいオタ”なる風潮が見られるが、せいぜい許されるのはメジャーどころまで。本作『redEyes』の“マニア度”はその範疇を明らかに超えている。

男A「オレ最近、『エヴァ』にハマっててさぁ」
男B「僕は『鋼の錬金術師』を全巻読んだところですよ」
女子「うわーすごい! C君は何かおもしろいアニメとか漫画知ってる?」
男C「今は『redEyes』がイチオシかな」
一同「……?」

こうした事態にさえ注意すれば、時間を忘れて楽しめる骨太なメカアクションであると保証したい。

  

●研究員評価
作画:★★★★☆
物語/設定:★★★★★
脳からアドレナリン度:★★★★★


講談社『月刊少年マガジン』

 

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