コンペ随一のスター映画にして最高の音楽映画

最後に“映画はやっぱり俳優が決め手”というファンも多いだろう。そんな人におすすめのスター映画はこの作品になる。

『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』

「ロバート・バドロー監督の『ボーン・トゥ・ビー・ブルー』です。ジャズ・ジャイアントのひとりとして知られるトランペット奏者、チェット・ベイカーのどん底の時代が彼の音楽とともに描かれていて、音楽映画としても人間ドラマとしても見応えがある。

その中で圧倒的な存在感を放つのがベイカーを演じるイーサン・ホーク。トランペットをプレイするシーンもさることながら、歌うシーンがもうたまらなくすばらしい。男の僕も痺れました」

TIFFが目指すのは映画とのかけがえのない出会い

ちなみに今年のコンペティションの審査委員長は、『ユージュアル・サスペクツ』や『X-メン』シリーズなどで知られるブライアン・シンガー監督。

審査委員は『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン監督、『キッチン・ストーリー』などで知られるプロデューサーのベント・ハーメル、同じく世界的な知名度を持つアジアの名プロデューサー、ナンサン・シー、『未来を生きる君たちへ』でアカデミー賞およびゴールデン・グローブ賞の両方で最優秀外国語映画賞を受賞したスサンネ・ビア監督、そして日本の大森一樹監督という豪華メンバーが務め、その賞の行方も注目される。

コンペティション作品選定ディレクターを務める矢田部吉彦さん

「ほんとうにいろいろな世界の地域をフォローすることができたし、ジャンルもストレートなコメディから、王道といえるヒューマン・ドラマまで揃いました。すごくバランスのとれたラインナップになったんじゃないかと思います。もちろん作品のクオリティは落ちていません。

今回のコンペは、どの作品もある意味、お客様を選ばないというか。誰もが興味のもてる作品が並んだと思います。なぜか東京国際映画祭は映画ファンだけのものと思われがちなのですが(苦笑)、そんなことはなくて。東京国際映画祭もコンペティション部門も、誰もが参加できるイベントと声を大にしていいたい(笑)。気になる作品があったらぜひ参加してみてください。

TIFFが目指すのは日本のみなさんにとっての映画とのかげがえのない出会い。そういう場になりたい。すばらしい映画体験になることを祈っています」と矢田部さん。

TIFFは誰もが参加できる映画の祭典。お祭り感覚で、あまり構えず、気軽にふらっと訪れてみてはいかがだろう?

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