仲よくなりたいママには、“I’m ○○.”と自己紹介を

顔見知りになった外国人ママと、もう一歩距離を縮めて仲よくなりたい…。そんなときのアプローチ方法のアドバイスもいただきました。

中野「LINEやeメールなどの連絡先を聞く前に、まずは自分から、“I'm Mikako.”などとファーストネームを名乗りましょう。

日本人の母親は、ほかの母親と『Aちゃんのママ』『Bくんのママ』と呼び合うことが多いようですが、海外では同世代の子どものママ同士という関係なら、お互いに名前で呼び合うのが自然です。

自分が名乗れば、相手も名前を教えてくれるでしょう。そこから友人関係が始まるはずです」

ルーツが違う子ども同士が仲よくなるヒント

ママ同士の接し方以上に気になるのが、子ども同士の関係です。園や学校でいろいろな国出身の子と出会ってお友達になれたら素敵ですが、せっかく出会いがあっても、子ども同士で仲よくできるでしょうか。

特に自分の子どもが、自分たちとは違う外国人のお友達の外見や肌の色をストレートに指摘して傷つけたり、からかったりしないかが心配です。中野さんの意見は……?

中野「子どもの言動に対して、『○○しちゃダメよ』というネガティブな叱り方をしても、子どもは簡単には理解できません。

それよりも、たとえば普段から『Aちゃんが生まれた国には、こんな習慣があるんだって。素敵だね!』といった話し方をして、まずは異文化のポジティブな側面に目が向くよう導いてあげるといいのでは。

これからの時代の子どもたちは、日本にいても、いずれは必ずどこかで海外の人と関わるようになります。

世の中には、いろいろな文化があって、いろいろな人がいて、いろいろな考え方がある…つまり、異文化が存在するということを、生活の中で常に意識できるように子どもを育てていく必要があると思います」

子どもへの教育の前に、親自身が身につけておきたいことも。

中野「相手の文化を尊重することは、異文化コミュニケーションの基本の一つ。親自身が、率先してそれを実践していくことも大切です。

尊重するというのは、たとえば相手が自分の常識では理解できない習慣を持っているとわかったとき、過剰に驚いたり排除したりせずに、認めること。

決して、相手の価値観を何もかも受け入れて、自分も同じことをするという意味ではないんですよ」

国際交流の機会が増えると聞くと、つい「もっと英語を勉強しなくては」「外国の文化について学ばなくては」と身構えてしまいますが、一番大切なのは語学力や知識ではないようです。

国籍や人種、母国語が違っても、子どもでも大人でも、同じ人と人。

筆者の周囲にも、海外出身の多様な文化的背景を持つ人たちが住んでいて、同世代の子を持つママ・パパにどう話しかけようかと悩むことがあったのですが、中野さんの話を聞いてすっかり気がラクになりました。

むしろ気負わずオープンな気持ちで接した方が、コミュニケーション力が向上しそうです。

子どもの園や学校に限らず、日常生活の中で外国人との出会いのチャンスがあれば、お互いに尊重し合いながら、楽しく国際交流したいですね。

【取材協力】中野美夏子
株式会社First Star代表取締役。接遇英語講師。株式会社アルク認定の英語学習アドバイザー。国際基督教大学卒業後、日本航空株式会社に入社、主に国際線に6年間乗務。その後、英語・接遇マナーの企業研修講師に。

2012年、株式会社First Starを設立し、「接遇マナー」「英語」「異文化理解」「コミュニケーション」の要素を組み合わせた研修、セミナーを提供している。またJETROが事務局を担う「新輸出大国コンソーシアム」事業では、「高度外国人材の活用のエキスパート」として全国各地でワークショップ、セミナーを行う。

海外渡航歴は5大陸45か国。一男一女の母。著書に『接遇英語のプロが教える 「出だし」だけ+ジェスチャーからはじめるおもてなし英語』がある。

京都在住ライター。私大文学部を卒業し、会社勤めを経てフリーライターに。東京都内で活動した後に、京都市左京区に引っ越し出産。その後は京都で子育てをしながらライター業を続ける。インタビュー・取材記事をはじめ、カルチャー、ヘルスケア、生活などのジャンルで幅広く執筆。