川瀬賢太郎 (C)Yoshinori Kurosawa

川瀬賢太郎常任指揮者就任6年目のシーズンを迎えた神奈川フィルが、みなとみらい定期シーズンオープニングに選んだのは、メンデルスゾーンの佳曲「夏の夜の夢」。ご存じシェイクスピアの喜劇に付けた劇付随音楽で、森に住む妖精などが活躍し、最後はハッピーエンドで終わる有名な曲だが、17歳の時この劇を読んだメンデルスゾーンが作曲したのは「序曲」のみ。残りの12曲は、17年後、当時のプロシア国王に命じられて書いたものだというから驚きだ。妖精の世界を表す木管の静かな和音で開始され、その後堂々とした行進曲風の宮廷音楽が演奏される序曲、トランペットで奏される祝典的な結婚行進曲、美しい旋律の数々を、様々な楽器で表現するメンデルスゾーンの手腕が存分に堪能できる。

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今回のステージでは、川瀬賢太郎の指揮、田尾下哲氏の台本により、子どもたちにもわかりやすいステージ作りに取り組んでいるのが最大の魅力だ。ソプラノに半田美和子、メゾ・ソプラノ山下牧子、そして東京混声合唱団(女声合唱)を迎え、さらに今回、特別にナビゲーターとして声優の國府田マリ子が出演!声優界のレジェンドといえる彼女の出演で、ひと味もふた味も違う「夏の夜の夢」になること間違いなし!さらに期待が高まる。

前半の第1部では、首席ソロ・コンサートマスターの石田泰尚が、ブロッホのコンチェルトを演奏。この協奏曲は、石田泰尚が川瀬賢太郎との共演を熱望した魅力ある協奏曲。エルネスト・ブロッホといえば、スイス系ユダヤ人で、ブリュッセル音楽院で作曲のほかにイザイにヴァイオリンを学び、米国移住後は、アメリカ文化の影響を大きく受け、バーンスタインやコープランドにも影響を与えた作曲家のひとり。『シェロモ』や『ヘブライ組曲』など独自の路線を行く作風で有名だが、今回のヴァイオリン協奏曲はめったに演奏される機会がない。そんな曲に対し石田は「音楽的には民族色豊かで、情熱的な曲」と語り、「めったに演奏されない曲なので多くの人に聴いてほしい」とも。演奏に並々ならぬ熱意を燃やしている。後半のメンデルスゾーンでは、いつもお決まりのコンサートマスターの席に座る予定だ。

公演は5月11日(土)神奈川・ 横浜みなとみらいホール 大ホールにて。チケット発売中。