5月末で終了するドコモの「docomo with」対象機種(一部)

家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、今年1月~4月のスマートフォン全体に占めるiPhoneの販売台数シェアは57.4%。6割弱と、国内では圧倒的なシェアを占めるが、もし、現状の「通信料金と端末代を一体にした“非”分離プラン」「端末購入を条件とする通信料金の割引」「一定期間の継続利用を条件とした高額な端末購入補助」がもっと前から禁止されていたら、状況は違っていたかもしれない。「月々サポート」「毎月割」「月月割」といった端末購入補助ありきの価格設定は、海外ではハイエンドモデルのiPhoneを「割安な、最も買いやすいスマホ」に仕立てていたからだ。

ずっと1500円割引の「docomo with」や学割キャンペーンは5月末で終了

今年3月6日、「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が閣議決定し、5月10日に可決・成立した。実施は今年秋の見込みだが、ドコモは、新料金プラン「ギガホ/ギガライト」、KDDI(au)はすでに提供していた分離プランを改定した「新auピタットプラン」「auフラットプラン7プラス」を6月1日から提供開始。どちらもパターンによっては従来プランに比べ「最大4割値下げ」となるという試算を示している。

またソフトバンクは、6月12日からケータイユーザーに向けた「スマホデビュープラン」を追加するなど、事実上、前倒しで、通信料金と端末代の「分離」が本格的に始まる。

一方、月の区切りにあわせ、5月31日をもって、昨年末からスタートしていた各キャリアの「学割」キャンペーンと、改正法案の禁止事項に抵触した、1500円を毎月ずっと割り引くドコモの割引プラン「docomo with」が終了する。docomo withは、同じ端末をずっと使い続ける場合は割安となり、2018年9月時点で累計300万契約を突破していた。

「BCNランキング」によると、今の売れ筋は、18年10月発売の「iPhone XR」と17年9月発売の「iPhone 8」だが、2月~4月は、Y!mobile(ワイモバイル)、UQ mobileの主力機種「iPhone 7」もそこそこ売れていた。またドコモは、2月27日にdocomo withの対象機種に「iPhone 7」を追加。その結果、ドコモ版「iPhone 7」の販売台数は3月・4月は急に跳ね上がった。

長く使い続けるなら、もう1世代前の「iPhone 6s」よりも、FeliCaと防水に対応した16年9月発売の「iPhone 7」のほうが断然おすすめ。3年前の機種でも実用性には不足なく、より新しい「iPhone XR」や「iPhone 8」より劣るストレージ容量、カメラ性能でも十分と考えるならコストパフォーマンスは高い。

このほか、18年12月発売の「AQUOS sense2 SH-01L」などもdocomo with対象機種となっており、それら対象機種は6月1日以降、価格は据え置きのまま、通信料金の割引がなくなり、実質的に値上げになると予想する。

さらには、「完全分離プラン」義務化は、新規契約の獲得より、既存顧客の単価アップが重視され、毎年恒例だった春の「学割」の特典は、ここ数年よりもかなり見劣る内容になると予想する。ドコモは新製品・新サービス発表会で、高額なハイエンド端末購入者向けに新たな購入プログラム「スマホお返しプログラム」を「新しい買い方」として提示したが、多くの消費者が求める割引は、端末の返却が必須となる下取りではないだろう。

「金額によらず一括で支払う」「24回以上の割賦販売の契約は避けたい」「同じ端末を必ず3年以上使い続ける」と心に決めている人は、「スマホお返しプログラム」はメリットがない。とはいえ、自社の調査結果に基づき、多数派にとって得になる「新しい買い方」という説明は一理あり、他社も追従すると定着する可能性は高い。

キャリアお仕着せの「おすすめ」に合わせる必要はない。学割をはじめ、各キャリアの割引キャンペーンのメリット・デメリットをまとめた記事や、店舗限定・期間限定キャンペーンの特典などをもとに総合的に判断し、今のタイミングで前倒しで端末の買い替えや買い増しをしたほうが得だと判断したら、5月中に計画的に手続きしたい。(BCN・嵯峨野 芙美)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

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