アニメから現実世界に飛び出したビジュアル系バンド、Λucifer!

男性声優さんによって結成され、70年代~80年代にかけて活動したスラップスティックや、テレビアニメ『マクロス7』から飛び出したFIRE BOMBERなど、歴史の要所要所で登場するアニメ、声優さん発のロックバンド。

2000年代に入っても、『けいおん!』や『SHOW BY ROCK!!』といったバンドを物語の軸にしたアニメ作品は大人気です。また、『Angel Beats!』のメディアミックス企画で、今や有名アニソン歌手のひとりとなったLiSAさんを輩出したGirls Dead Monster、『SKET DANCE』のThe Sketchbookのように、フィクションから現実の世界へと飛び出したバンドも続々と登場しています。

そうした"アニメバンド"におけるルーツのひとつとして、ご紹介したいのがこのΛucifer(リュシフェル)。1999年に放送をスタートしたアニメ『KAIKANフレーズ』から誕生したビジュアル系バンドで、当時のビジュアル系ブームも相まり、人気バンドのひとつとなりました。

劇中に登場するバンドを現実世界で結成するというコンセプトが斬新だったΛucifer。

メンバーがアニメのキャラクターと同じ名前を名乗り、主題歌を担当する一方で、テレビの歌謡番組にも出演するなど、2次元と3次元、フィクションと現実を自由に行き来した活動が何ともユニークなバンドでした。

2003年に一度、活動を停止してしまいますが、これまた現在のアニソンフェスブームがもう少し早く訪れていれば、その名前をラインナップに連ねるバンドとなっていたハズです。

"ネオビジュアル系"なんて言葉が生まれ、ビジュアル系バンドの音楽性やキャラクターが多様化し、複雑でテクニカルな演奏力を有したバンドも登場している今だからこそ、このΛuciferのようなアニメ発進のビジュアル系バンドが今一度出てきてもおもしろいと思うのですが……。

女性の年若いアニメファンには、特にその名前を知っていただきたいバンドであり、アニソンアーティストです!

豪華ミュージシャンによる楽曲が魅力です、宮村優子さん!

現在では、アニメ専門の作曲家だけではなく、ロックにパンク、ヘヴィメタルやテクノなどなど、様々な音楽シーンからミュージシャンが参加し、個性的な楽曲が数多くリリースされているアニソン、声優ソングの世界。

そうしたモダンなアニソン、声ソンの流れを90年代の時点で既に完成させていたのが、宮村優子さんです。

宮村さんといえば、何はなくとも『新世紀エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレー役で知られる声優さん。その他にも、沢山の人気アニメキャラを演じ、ラジオ番組『宮村優子の直球で行こう!』でのはっちゃけたトークや、実写映画への出演などでもファンに話題を振りまいた人気女性声優さんです。

更に、宮村さんは、90年代の半ばから後半に掛けて音楽活動も積極的に行っており、多数のシングルやアルバムをリリースしています。

そして、それらの作品における最大の特徴が、参加ミュージシャンの豪華さ。戸川純さんや筋肉少女帯、特撮の大槻ケンヂさん、P-MODELの平沢進さん、ムーンライダーズの鈴木慶一さん、小西康陽さん、元SHI-SHONEN~フェアチャイルドの戸田誠二さんなどなど、80年代のジャパニーズニューウェーヴを代表するキーパーソンを中心に、実にバラエティーに富んだミュージシャンが作詞、作曲に名を連ねているのです。

そうしたクリエイターたちが作り出すサウンドに、宮村さんのちょっぴりエキセントリックなキャラクターと歌声が加わり、超個性的な輝きを持った楽曲が数多く生み出されました。

オススメは、1998年にリリースされたミニアルバムの『魂』。冒頭を飾る『Mother』は、平沢進さん作曲によるナンバーで、女性声優によるテクノポップ、ニューウェーヴの大名曲です。その他の収録曲も参加ミュージシャンの音楽性がそれぞれに色濃く出ており、ミニアルバムながらも聴き応えのある1枚に。

他のアルバムもアニメや声優のファンに限ることなく、バラエティーに富んだ作詞、作曲陣の手腕によって音楽マニアも楽しめる作品となっています。

90年代の声優ブームの一角を担った超人気声優による楽曲であると同時に、多くの個性派ミュージシャンが楽曲面を手掛けるという現代的な感性も先取りしていた宮村優子さんの音楽作品。今の若いアニメファン、声優ファンが聴いてもきっとおもしろい発見があると思いますよ!