書籍『日本の犬猫は幸せか』の著者であるエリザベス・オリバーさんは、日本で動物保護活動を行う「アーク」の代表。長年の日本での活動が認められ、2013年に英国エリザベス女王より大英帝国五等勲爵士を受勲したこともあります。25年も活動を続けるオリバーさんが、日本の動物保護の現状や問題点を自著で指摘しています。

まず、オリバーさんが指摘するのは、日本の遺棄動物には「セカンドチャンス」があまりに少ない点。

自分たちの事情をよく考えずに外出先でペットを購入してしまうのは、日本だけでなく世界共通の問題。また、些細な理由で捨ててしまう人や、やむを得ない理由で手放さざるを得ない人も世界にはいます。

しかし、動物愛護の先進国である米国・英国などでは、犬猫を引き受ける受け皿としてシェルターが数多く存在。そして、ペットを求める人は日本のようにペットショップを訪れるのではなく、このシェルターに足を運びます。

シェルターでペットを購入することが彼らの当たり前。特に英国では保護している犬は「ペットにふさわしい愛すべき犬」というイメージが浸透しており、飼い主もペットも幸せな関係を結んでいます。

同書で取り上げられている英国最大の犬保護団「ドッグズ・トラスト」を紹介しましょう。2015年7月現在、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドに20のシェルターを運営しており、今も毎年新施設をオープン。700名以上の正規職員と2500名のボランティアがおり、年間収入は8470万ポンド(日本円で約180億円)。その他にも多くのサポーターがこの活動を支えています。

ドッグズ・トラストの取り組みは様々。シェルターの運営以外も、避妊・去勢手術に実施、マイクロチップの登録推進、子どもたちの犬との接し方を教える教育活動など、数え切れないほど多くの活動をしています。こういった活動は多方面で評価されており、エリザベス女王陛下がパトロンにもなっています。

シェルターがあることで、ペットは次なる飼い主と出会うことができ、セカンドチャンスを得ることができるのです。