しかし、日本ではどうでしょう。こういったシェルターが十分に整っておりません。行き場を失った犬猫は、保健所・動物愛護センターに託すor捨てる、の二択になるのです。

日本で保健所・動物愛護センターに収容されると、多くの施設では3~5日で殺処分が行われます。処分の方法は二酸化炭素ガス。1頭の犬が息絶えるのに20~30分かかると同書で説明されています。動物らは決して短くない時間を苦しまなければならないのです。

息が絶えたその後は、焼却炉へ。驚くことに近代化が進み、動物が入所してから死に至るまで、スタッフはペットの体に触れることなく全自動で処理することが可能。この間、スタッフの仕事はガス注入のボタンを押すだけ。

こういった処分は耐えられない。そういった考えなのか、施設に預けずに山や河原に犬猫を捨てる人もいます。「自然に還したから」は、人間の勝手な言い分。自然の猛威は我々が想像する以上のものがあり、良い結末を迎える犬猫はごく少数と言えるでしょう。

また、「ペットを手放したい方、引き取りと譲渡先をお世話します」といった怪しい広告からサービスを利用する人も。道ばたや高速道路のサービスエリアなどで、犬猫1匹につき3万円で預けることができるのです。動物を手放すことは誰でも“後ろめたさ”があるもの。その後ろめたさを感じないために、ペットを自然に還した、業者に手渡したという大義名分だけ得て、翌日から何事もなかったかのように生活をするのです。

今や、14歳以下の年少人口を子どもの数よりも多いペット数ですが、軽率な判断で購入してしまうことは要注意。また、ペット先進国にならって「セカンドチャンス」を得られる機会を整える必要があるのです。同書のタイトルのように、「日本の犬猫は本当に幸せなのか」、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

<書籍情報>
『日本の犬猫は幸せか』エリザベス・オリバー著(集英社)