「新ウルトラマン列伝」「ウルトラマンX」山瀬アスナ隊員役の坂ノ上茜 (C)円谷プロ

 東映の仮面ライダーや戦隊シリーズ、円谷プロのウルトラシリーズが、若手俳優の登竜門として定着して久しい。一時はイケメン俳優を続々と輩出して女性ファンの注目を集め、大きな話題にもなった。さらに最近は、若手女優たちによるアクションの充実度にも目を見張るものがある。

 その中から今回は、円谷プロのウルトラシリーズに最近出演した2人を取り上げたい。

 テレビ東京系「新ウルトラマン列伝」(毎週火曜日午後6時)枠内で現在放送中の最新作が「ウルトラマンX」。この作品で、怪獣と戦う防衛チーム“Xio(ジオ)”の女性隊員・山瀬アスナを演じているのが新人の坂ノ上茜だ。

 作品公式サイトのキャラクター説明によると、「格闘技に長け、地上戦が得意な実戦隊員。ホバー戦車タイプの特殊メカ・ランドマスケッティを縦横無尽に操る」とのことで、劇中でも大型トラックを乗り回し、バズーカ砲などの重火器を使いこなす。同僚の男性隊員をよそに、たびたび敵の宇宙人と素手で格闘も演じており、従来の紅一点イメージに止まらない活躍を見せる。

 とはいえ、決して無骨な雰囲気ではなく、長い髪を揺らして戦う姿は女性ならでは。所属事務所のプロフィールには“特技:新体操・バトントワリング”とあり、柔軟さを生かしたしなやかなアクションは、フレッシュな魅力にあふれている。

 アスナをフィーチャーした第3話「夜を呼ぶ歌」では私服姿で女性らしい一面を披露。続く第4話「オール・フォー・ワン」では、格闘トレーニングで主人公に完勝し、宇宙人とも直接対決を繰り広げる。

 本作が本格的な女優デビュー作とのことで、今後の活躍が楽しみだ。

 そしてもう1人が、2014年12月まで放送されていた前シリーズ「ウルトラマンギンガS」に出演した最上もが。6人組のアイドルグループでんぱ組.incのメンバーだが、音楽活動のかたわら女優としても活躍。魔女養成学校を舞台にしたアクションファンタジー『白魔女学園』(13)とその続編『白魔女学園 オワリトハジマリ』(15)に他のメンバーと共に出演し、アクションを交えて物語をリードした。

 彼女が「ウルトラマンギンガS」で演じたのが、侵略宇宙人の尖兵として防衛チーム“UPG”と戦うアンドロイド・ワンゼロ。金髪のショートカットとクールな顔立ちを生かして、戦う機械として生まれながら、徐々に人間性を芽生えさせていくキャラクターを好演。全編にわたってアクションを披露してシリーズを盛り上げた。第7話「発動!マグネウェーブ作戦」では、UPG隊員役の滝裕可里(フィギュアスケート経験を持つ彼女のアクションも見もの)とのヒロイン対決も繰り広げている。

 子どもをメーンターゲットにしたこれらの作品に出演することは、女優としてのキャリアアップにつながるばかりでなく、長く応援してくれるファンを獲得するチャンスでもある。

 その代表格が、1967~68年に放送された「ウルトラセブン」でアンヌ隊員を演じ、今でも高い人気を誇るひし美ゆり子だ。また、筆者も含めて志穂美悦子を「キカイダー01」(73~74)のビジンダーとして記憶している方も少なくないはず。

 彼女たちがこの作品をきっかけに長く愛される女優になることを願いながら、今後の活躍を見守りたい。

(ライター:井上健一):映画を中心に、雑誌やムック、WEBなどでインタビュー、解説記事などを執筆。共著『現代映画用語事典』(キネマ旬報社)