「秒速ドリーマー」後編 Moment Dreamer the second volume 「秒速ドリーマー」後編 Moment Dreamer the second volume

劇団スカッシュの新作『秒速ドリーマー』の映像版(前編・後編)が、現在YouTubeで公開されている。
オフィシャルYouTubeチャンネルの登録数は24万人以上、総再生回数は1億1000万回を超えるYouTuberである劇団スカッシュは、大塚竜也・大塚祐也・中田大地・前川健二の4人構成。YouTuber界では言わずもがな有名な彼らだが、もともとは演劇集団として舞台から活動をスタート。綿密に計算されたストーリー展開のおもしろさ、インパクトのある人物描写は、彼らの背景を知っていれば納得だ。

そんな劇団スカッシュの新作『秒速ドリーマー』では、自分たちの日々を映し出すかのように「YouTuber」をテーマにぶつけてきた。
YouTuberとして活動する映像集団・侍レシーブが新作ドラマ『叫び続ける雨』を配信。しかし、ライバル視するカテキチに再生回数で惨敗してしまう。作品への評価が数字にはっきりと出るYouTuber。映像版後編の最後に、「面白いもん作れば勝てると思ってた」と泣く哲郎の姿は、劇団スカッシュがYouTuberだからこそ圧倒的なリアリティを放っている。

前後編と映像版を見る限りでは、劇団スカッシュ独特のシュールな笑いは封印されているかのようにも思うが、今までの作品以上にストーリーに奥行きを感じられる仕上がり。現段階では、舞台版がどのように展開されるのかまったく予測できないが、だからこそ11月26日(木)から12月6日(日)、笹塚ファクトリー(東京・渋谷区)で公演される舞台版への期待が高まる。

今までYouTubeでしか彼らの姿を見たことがなかった人にこそ、舞台上での彼らを見てほしい。舞台は一度として同じものがない。今のちょっとダメだったねといって映像を撮りなおすように、演じなおすわけにはいかない。もしかしたら台詞をかんじゃうかもしれないし、予想外のハプニングが起こるかもしれない。でも、それらすべてをひっくるめて同じ時間を共有する魅力は舞台にしかない。目の前で演じる彼らを見ることで、今までとはひと味違った劇団スカッシュの魅力に触れることができるだろう。舞台公演のチケットは好評発売中。

文:吉川ゆこ