『コウノドリ』“BABY”のピアノ誕生秘話とは? 注目ピアニスト・清塚信也ロングインタビュー

2015.11.11 19:27

綾野剛主演ドラマ『コウノドリ』、その印象的な音楽を手がけ、役者として出演も果たしているピアニスト・清塚信也。『コウノドリ』の制作秘話から自身の最新作、開催を控えるコンサートについて、さらには音楽家としてのルーツまで、幅広く語ってもらった。

清塚信也さん清塚信也さん

現在TBSで放送中(金曜22時~)の大ヒット連続テレビドラマ『コウノドリ』で、ピアノテーマ曲・監修を担当し、更に自身出演も果たしていることで大きな話題を集めているピアニストの清塚信也。このドラマのテーマ曲も収録されたNewアルバム「あなたのためのサウンドトラック」の発売を記念したコンサートが、11月14日(土)・第一生命ホールで開催される。

ピアニストとして、作曲家として、また俳優として幅広い活動を続ける清塚のコンサートは、各方面で高い評価と厚い支持を得ており、豊富な知識にウィットも交えたトークも展開しながら、毎回多くの聴衆を魅了している。

そんなコンサートを控えた清塚に、今回のステージの内容、放送中のドラマ『コウノドリ』のこと、また現在の多彩な活動に至るこれまでの来し方などを語ってもらった。

感情の発露である「BABY」のピアノ

──NEWアルバムの発売記念コンサートということで、とても楽しみなのですが、このコンサートでも楽曲が披露されるドラマ『コウノドリ』が大変話題になっていますね。こちらは1年前から準備されてきたそうですが。
 

今、ドラマというのはとても短いスパンで作られるものが多い中で、こんなに長く準備期間を頂けたことは、まず幸運だったと感じています。主演の綾野剛さんが大変真摯に役と向き合っていらして、早くから作品の準備をされたいという希望があったんです。

役者さんも仕事を並行しておられる関係もあって、その場の瞬発力でやらせて欲しいという方も多いのですが、綾野さんの作品への取り組み方、そのスタイルにとても共感できましたし、運命的な出会いだなと思っています。

入念に準備をしたいというスタンスは僕も同じで、あまりその場の瞬発力で曲を書いたりはしたくないので、そういう考え方をテレビ局にも承認して頂けて、皆で一緒に長い時間をかけて作りこんでこられたというのは、作品にとっても価値のあることだったと思います。
 

──主人公の産婦人科医が謎の天才ピアニスト「BABY」という顔も持つという設定で、ドラマの中でピアノがとても重要な位置を占めています。ジャンルにこだわらない多岐に渡る演奏をする、清塚さんご自身のスタイルに似ている面もありますが、役柄に親近感は感じられましたか?
 

それはとても感じました。原作の設定ではもう少しジャズ寄りで、弾いているナンバーもスタンダードジャズなどが多いのですが、このドラマを作るにあたってプロデューサーの方からいちばん先に「ジャズではない」と言われていて。「BABY」というジャンルでありたいと。

それはまさに僕の考えに通じていて、僕は何をするにもあまり抵抗を持たない方なのですが、ひとつだけとても抵抗があるのが、人と同じことをするということなんです。これだけは僕がいつも拒否感を持っている部分だったので、「BABY」が唯一無二の「BABY」というジャンルであるというのには、すごく共通するものを感じました。

また「BABY」はちゃんとピアノのレッスンを受けたことがないんですね。誰にも師事していず、我流だからこそジャンルを問わず好きだと感じる音楽はすべて吸収してきた、というタイプなので、そこにもとても共感できました。それで、綾野さんも一緒に皆で話し合って、基本的に自作のオリジナル曲を演奏する「BABY」に活かしていきました。


──その「BABY」が作ったという設定のオリジナル曲を書かれるにあたって、どのような発想を?
 

「BABY」には産婦人科医「鴻鳥サクラ」という表の顔があって、産婦人科のお医者さんって、医師の中で最も倫理的な領域に踏み込まなければならないんですね。医学的な見地を述べるだけではなくて、そもそも産むべきなのか?であるとか、子供が産まれた後のことまで考える必要がある。

初回のテーマでもあったのですが、全員が平等なお産ができる訳ではない中で、如何に生きていけるのか、また健康に産めるのか?というのは、医学の領域を越えて倫理に入っていく問題になります。

でも、一方で本来医師が医学的なことだけでなく、倫理的な部分に踏み込むのはNGなんです。助言できるとしたらカウンセラーなどで、産婦人科医師が子供への思いを語ることはある意味で越権行為になります。だから「サクラ」には本当は言いたいことがたくさんあるんだけれども、医師としてそこには蓋をしなければならない。

子供の為に泣きたい、怒りたい、訴えたいことがいくらあっても、爽やかな笑顔で医学的なことだけを言う。そのたまった気持ちを発散するのがピアノなので、「BABY」としての演奏はかなりエモーショナルだし、感情をむき出しにすることも多いんです。

ですから、そうした思いの象徴になる曲を書かなければならないというのを、いちばん念頭に置いて大事にしていました。

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