「中華そば 共楽」が、銀座に帰ってきた。この日を、どれだけ多くの人が待ち望んでいたか。

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帰ってきた「共楽」

「共楽」よりも旨いラーメンは、ほかにもあるだろう。でも、「共楽」のラーメンが一番好きだ。3年の休業期間を除き、私は、22歳の頃から30年以上、共楽に通ってきた。

奇をてらっていない味。いつも安心して食べられるラーメン。飽きの来ない味も、「共楽」に来たくなる理由だった。

けれど、銀座に勤めているわけでもない自分が「共楽」に足を運んだのは、中華鍋に向かい、黙々と麺を茹でていた親父さんに会いたかったからだ。

けっして口数は多くなかったが、ひょうひょうとした風貌。親父さんにひと目会いたいばかりに、目の前に中華鍋がある、カウンター奥の椅子に座り、ラーメンをすすりながら、片目で親父さんの姿を追っていたものだ。

スープに何を使っているのか知りたいとも思わない。親父さんの〈存在〉そのものが、「共楽」の、一番の〈企業秘密〉だ、と思っている。

そんな親父さんが、銀座に帰ってきた。それがなによりも嬉しい。長年通ってきた「共楽」のファンも、それを一番喜んでいるはずだ。

3年ぶりの「中華そば」を実食!

「どこかに行ってしまったんじゃないかって、思われていたかも」

と、親父さんは照れ笑い。

今回、親父さんの名前を初めて知った。中野喜久雄さんというそうだ。

休業中の3年間何をしていたのか。親父さんに訊ねた。

「こういう仕事をしていると、なかなか休みがとれなくてねえ……。女房のきよ子と旅行に出かけたり、たっぷりと連休をとらせていただきました」

3年ぶりに「中華そば」(800円)を食べさせてもらった。

麺を茹でる中華鍋も、スープを仕込む寸胴鍋も、新品。丼は、昔使っていたものの未使用品を店に運んだ。

店舗が若干広くなり、ゆったりと座れるようになった。けれど、スープも、チャーシューも、昔のままの味。ただ麺が、若干黄色くなり、モチモチ感が増した。