目指したのは“新しさ”。監督が語るオスカー受賞作『アーティスト』

2012.4.6 15:4配信
アーティスト』を手がけたミシェル・アザナビシウス監督

第84回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞など5部門に輝いた『アーティスト』が7日(土)から日本公開される前に、本作を手がけたミシェル・アザナビシウス監督が来日し、インタビューに応じた。

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本作は、映画がサイレントからトーキーへと移行する時期のハリウッドを舞台に、大スターとして活躍する男性俳優と、彼に見そめられた端役女優の栄光と転落をモノクロ&サイレントで描いた作品だ。

『アーティスト』は、完全なサイレント映画ではないが、その手法を活用し、ひと組の男女の人生の浮き沈みと恋を描いている。「サイレントは、とてもシンプルだけど美しい物語を語るのに適した技法じゃないかという直感があった」というアザナビシウス監督は、サイレント映画は“欠如の芸術”ではないと強調する。「私自身はサイレントをトーキーから音を抜き取ったものだとは考えていません。そこにはサイレントならではの語り口があると信じています」。

そこで、監督は過去のサイレント映画を徹底的に研究し、その話法や表現の制約と可能性を追求したという。「私たちはどこから来たのか? その出自を知ることは重要なことです。たとえば、(クェンティン・)タランティーノは彼流のやり方で過去の作品にオマージュを捧げています。それは懐古主義ではなく、過去を尊重し、より聡明なかたちで未来に進んでくことだと思います。それにサイレントが古いと感じるのは、単にある時期から製作されなくなったからだけで、このフォーマットは時代を超えていると思います」。

本作をモノクロ&サイレントで撮ろうと決めたとき、アザナビシウス監督は「斬新で、世界で初の試みができるのではないかと思った」と振り返る。映画『アーティスト』は、形式至上主義的な作品でも、懐古主義的な作品でもなく、21世紀に“新しさ”を求めてモノクロ&サイレントの手法を用いた作品だと監督は主張する。「それに映画史を振り返れば、小津安二郎やロベール・ブレッソン、ジャック・タチなど、トーキーであっても表現の要素を可能な限り排除して、自身の語りを見つけていった人たちもいます。僕はサイレントになることで可能性は広がるし、この形式によって観客の感動を呼ぶと考えています」。

『アーティスト』
4月7日(土) 全国ロードショー

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