藤田のマネキン人形と対面したオダギリジョー

 映画『FOUJITA』の初日舞台あいさつが14日、東京都内で行われ、出演者のオダギリジョー、中谷美紀と小栗康平監督が出席した。

 本作は、1920年代の仏パリで活躍し、40年代に帰国した後は“戦争協力画”を描いて日本美術界の重鎮に上り詰めた画家、藤田嗣治(オダギリ)の半生を描く。

 オダギリは「1年前にパリで1カ月、日本で3カ月近く撮影していたところからもう1年たったのかと思うとあっという間に感じます」と待ちに待った公開初日を喜んだ。

 完成した作品を見て「今までの自分の演じている姿よりも美しく見えました。自分で言うのは変ですが、小栗監督のご指導の下、あそこまで自分の良さを引き出してもらってうれしく思います」と照れながらも自信を持って語った。

 さらに「これまでは“『東京タワー』のオダギリジョー”と言われることが多かったのですが、これからはぜひ“『FOUJITA』のオダギリジョー”という肩書、代表作にしてほしい」とアピールするオダギリに、小栗監督は「いいんですよ、良さは出たんです」と笑顔でうなずいた。

 藤田の5番目の妻・君代を演じた中谷も「オダギリさん、すてきでしたね。自画自賛なさるのもごもっともです。つい見とれてしまいました」と同意し、「5番目の妻ですが、それまでの奥さんに嫉妬心を覚えながら演じておりました」と振り返った。

 また、劇中でも使われた藤田のマネキン人形が登場すると、オダギリは「撮影中は見れず、初めて見たのですが、もう二度とこういう格好はしないでしょうから、マネキンで残るのはうれしい」とまじまじと見つめ、中谷からの「持って帰るんですか?」との問いには「これが家にあったらまずくないですか? 門番にはならないし家もばれる」と苦笑いを浮かべた。