「日本の住環境はLDKの大型化が進んでいる。部屋全体を快適にするには、部屋の間取りから床の素材までセンサーで認識して、気流の通り道がどこにあるのかを把握する必要がある」。

日立ジョンソンコントロールズ空調の国内商品企画部の木村士良部長は、ルームエアコンの「ステンレス・クリーン 白くまくん Xシリーズ」に搭載したセンサー「くらしカメラ 4」の狙いを語る。

●四つのセンサーで人とモノ、床の素材まで把握

最近のマンションや戸建て住宅では、家族みんなが集まるリビングやダイニング、キッチンのスペースを広くとり、個人の居室空間はむしろ狭くする傾向にある。日本の場合、フローリングのLDKの洋室の隣に、畳の和室があるなど床の種類や素材も異なる。

つまり、LDKは家族みんながくつろぐ場所で、そこには家具や食器棚、ソファ、テーブル、家電製品など、多くのモノが配置している。しかも、床の素材はフローリングやカーペット、畳までさまざまなのだ。

「Xシリーズ」の大きな特徴は、部屋にいる人とモノの位置や形、床の素材を把握できるセンサーと、そのスペースに最適な温度の風を送るために6枚のフラップが独立駆動する仕組みを搭載したことにある。

センサーである「くらしカメラ 4」は、四つのカメラ機能から構成される。「画像カメラ」は人の位置や活動量、部屋の間取りを把握する。次の「温度センサー」は、人の周囲や天井、床、壁、窓などの温度を測定する。

三つめの「ものカメラ」は、ソファやテーブルなど部屋にあるモノの形と位置をチェックする。最後の新搭載「お部屋カメラ」は、フリーロングや畳、カーペットなど床の素材の違いや、吊り戸棚、下がり壁を認識することができる。

下がり壁は、あまり聞きなれない言葉だが、対面キッチンの天井から下がる仕切り壁や、和室とLDKの間の天井から下がる仕切り壁のことだ。「下がり壁に風が当たると吹き溜まりができるので、『くらしカメラ 4』は下がり壁を避けるようにして風を送ることができる」と木村部長は説明する。

例えば、夏の暑いキッチンで作業していても、エアコンの冷たい風がしっかり届くので暑くなくなるというわけだ。

「お部屋カメラ」で床の素材の違いまで認識できるようにしたのは、部屋で靴を脱ぐという日本の生活習慣ならではの課題があるからだ。

同じ温度の部屋にいても、フローリングとカーペット、畳の違いによって足が感じる冷たさや暖かさは異なる。この足が床に触れるときに感じる不快感をなくすために、床の素材に適した温風を送るのだ。冷たく感じるフローリングには温度の高めの風を、比較的暖かく感じるカーペットには少し温度の低い風を送る。

●細かい気流制御は6枚のフラップで

一方で、LDKが広くなるにつれて、遠く離れた場所や近くの場所を暖めるための気流制御が難しくなる。Xシリーズのように「くらしカメラ 4」で部屋にいる人やモノを把握して、送る風を変えるならなおさらだ。

「センサーで人やモノをキャッチできても、アウトプットが肝心。フラップで風の強弱や方向を調整して送り出さなければならない」(木村部長)。

新搭載の「ステンレス フラップ6」は、左右と中央、その前後にレイアウトした6枚のフラップが自在に動く。左右と中央の三方向から吹き出す風の向きを変えられ、風の強さが変えられる。

風の強弱は前後のフラップの幅で調節できる。室内機のクロスフローファンが6枚のフラップに同じ風量を送っても、風の強弱を変えることができる。

例えば、近くにいる人には前後のフラップの幅を広げることで柔らかい気流になる。逆に遠くにいる人には、フラップの幅を狭めて送る。

「くらしセンサー 4」の能力を最大限に引き出すために、必要な気流を必要な場所に向けて送ることができる「ステンレス フラップ6」は不可欠だった。部屋を快適にする「Xシリーズ」の美風は、この二つの技術の融合によってつくり出されている。

(BCNランキング 細田立圭志)

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