産後クライシスという社会現象にみられるように、子どもが誕生してから夫婦仲が冷え込むケースは多いようです。

冷え込むだけならまだしも、夫の悪口をSNSに吐き出す妻も。中には、「旦那大嫌い」「離婚したい」なんていう穏やかでないハッシュタグまであるようですよ。

ですが、子どもがいるとすぐに離婚できるわけではありませんし、せっかく好き合って結婚し、子どもにも恵まれたのに、いつか離婚してやると思いながら毎日を送るのは、心身にとってあまりいい影響があるとは言えません。

脳科学・AI研究や、男女脳の違いについての著書『妻のトリセツ』で知られる黒川伊保子さんは、新刊『定年夫婦のトリセツ』のなかで、「惚れ合って一緒になった夫婦は、とっさに正反対の反応を生み出すペアの装置」だと書いています。

同じ反応をしていては、緊急事態の時に子どもを守れませんから、結果としては正反対の反応はいいことなのですが、あまりに違いがありすぎるため、お互いの行動にムカッときてしまうのですね。

黒川さんの著書を参考に、相手の行動が理解できないながらも、なんとか共生の道を探すのはいかがでしょうか。

きっと夫婦仲で悩んでいるのは自分だけではないと思えて、まず気が楽になると思いますよ。

ムカつきあうのは夫婦のさだめ?

黒川さんは、長年の人工知能研究からうまれた男女脳論より、以下の結論を導き出しました。

「男女は、あらゆる場面で正反対の答えを出す真逆の装置である」

冷蔵庫の奥の方から賞味期限切れの食品を見つけ出すことに長けている夫は、目の前にあるものが探し出せずにすぐに妻を呼びます。これは、もともと空間認知力の高い男性脳のなせるわざなのだとか。

また、女性が話をするとき、女性のほしいのは共感であって、意見やアドバイス、ましてや批判などではありません。ですが、ただうんうんと妻の話を受け止めてくれる夫のいかに少ないことか。

その結果、多くの妻が「こんなことなら夫に話さなければよかった」と後悔することに。その手の話はママ友に異様に共感されますよね。

極端な話、なにか危機に襲われたとき、二人とも同じ行動をとっていたのでは共倒れになる危険があるということですから、妻と夫が違うこと自体は、大きな視点を持てば、悪いことではありません。

ですが、日常レベルだと、どうしてもケンカの原因になりがち。もともとは好き合って結婚した相手であればなおのこと、「100年の恋も冷める」なんてことにもなりかねません。

黒川さんの提唱する「脳の7年周期」によると、結婚も7年目を超えると、恋愛していたころのときめきは消え、「戦友の7年」が始まります。

家事や子育ての方針をめぐって、ときにバトルをしながら、協力しあえるような関係を築く時期と考えれば、夫の理解できない態度に対しても見方が変わってくるかもしれませんよ。