スポンティーニ店内スポンティーニ店内

直径50センチもあるピッツァをどう焼くのか。ミラノのスポンティーニで小麦の配合から生地のこね方、焼き方など、すべてのレシピを2ヵ月間みっちりと学んできた田中正志店長に、ミラノピッツアの焼き方を教えてもらった。

本格的なナポリピッツァ同様、スポンティーニでも薪窯を愛用している。けれど、その焼き方はまったく異なる。前者は1分少々で窯から取り出すのに対し、スポンティーニでは優に5分かけて焼くのが特徴となっている。

カウンターの真後ろにあるオープンキッチンで作っているので、どうやって焼いているのか、料理をオーダーする前に、しばらく眺めていたい。料理好きならば、きっとワクワクするひとときを愉しめるに違いない。

スポンティーニのピザスポンティーニのピザ

まずは数時間発酵させた生地に、ホールトマトとタマネギで作った自家製トマトソースをかける。ここまではナポリピッツァのレシピとほぼ同じだけれど、ここから先がスポンティーニの真骨頂。現オーナーであるマッシモ・イノチェンティさんの父が、1953年に考案した焼き方を踏襲している。

パテッラと呼ばれる鉄鍋にトマトソースを塗った生地を載せる。その上に、大豆油をたっぷりとふりかけた後、パテッラをヘラに載せて、薪窯に入れる。

ピッツアを置く位置も、ナポリピッツァとはかなり異なる。ヘラの上に生地を置き、薪窯の一
番奥に直置きするのがナポリピッツァのレシピだ。ところが、スポンティーニでは、手前でチョロチョロと燃えているおき火の上にパテッラを置くのだ。

「ある程度焼けたところでピッツアを一度取り出します。ナイフで生地を数か所切ったら、再びおき火の上に載せます」(田中店長)

ふんわりと焼けつつある生地を、なぜナイフで傷をつけるのか。それには深い理由がある。大豆油が穴から流れ落ちることで、ピッツアの底も揚げるような感覚で焼くというのだ。底を揚げるように焼くのが、ナポリピッツァとの一番の違いかもしれない。

数分後、再び取り出し、薄く切ったモッツアレラを載せる。チーズはモッツアレラ・バッカと呼ばれる乳牛の乳で作ったイタリア産だ。オーダーによっては、1枚の一部をマリナーラにするため、チーズを載せず、オレガノをふりかけることもある。

最後にもう一度焼く。置く場所は一番奥。温度帯がもっとも高い薪窯の一番奥にパテッラをセットする。モッツアレラ・バッカが溶け出し、おいしそうに焼き上がったら、取り出す。専用カッターで八等分に切り分けば、スポンティーニ特製のマルゲリータとマリナーラの完成。

とろけたチーズをナイフで切りつつ、トングで1枚ずつ皿に持ってくれる。

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