5.お金のことで気をつけたこと

呉「海外駐在妻という立場上、以前のように私自身も十分な時間、働いて収入を得るということがむずかしくなりました。

正直、支出にはかなり気を遣うようになりましたが、そういう状況に立たされたからこそ、モノやコトへの価値を改めて深く考えられるようになりました。

海外現地での人と話すと、お金の価値観もさまざまで、いろんな気づきがあります。

そんな中で、お金の使い方や幸せの尺度などの心境変化も生まれ、新たな生き方をリセットしている感覚があります。どうやって運用していこうかなど、まだまだ継続課題ですが、引き続き考えていきたいと思います」

子どもたちの心理ケアはどうした?

転勤というと、環境面の変化が子どもにとっては特に大きいと想像できますが、それに伴い、子どもの心理面にも大きな変化が訪れます。特に海外への転勤となれば、心理面へのケアは欠かせないでしょう。

呉さんはどんな風に子どもたちと接したのでしょうか?

呉「私たち夫婦が変化を前向きに受け止めていることで、子どもも不安ながら期待を持って引っ越しできたので、本当に良かったなと思っています。

まだ小さいので、転勤に対するうんぬんより、『家族が一緒にいられるかどうか』が子どもたちにとって重要な意味になるようだと感じています。

長女は先に渡航したので、母と弟たちと離れた期間が数ヶ月あり、よくがんばっていましたが、実際にはとても寂しかったようです。

転勤には単身赴任や母子赴任などいろいろな形がありますが、今後どこへ行くことになっても、極力『家族全員でいられるようにするにはどうしたらいいか?』という視点で考えていくと思います」

転勤を子どもの成長にプラスにするには?

これから転勤する予定のある、幼い子を持つ親に対して、転勤を子どもの成長にプラスにするためのアドバイスをいただきました。

呉「どんな環境にいても、人との関わりなくしては生活できませんよね。

人と出会い、関わっていくことを子どもが前向きに捉え、楽しくそこでの生活を送れるという基盤をつくってあげることが、親として大事な役割だと実感しています。

そこを欠かさなければ、きっと子ども自らの力で成長していくんじゃないかなと思います。子どもが本来もつ柔軟性や成長力は、本当にすごいなと日々の様子から感じるからです。

そのためにも親として、子どもが安定した気持ちで『できるかも!』となんでも挑戦できるよう、自己肯定感を築いてあげられる声がけをしたいなと思います。

子育てに正解はないですし、思い描いたとおりにいかないこともたくさんあります。でも、日々考え、工夫していくことの積み重ねで、転勤先での子育てもより楽しんでいけるのではないかなと思っています」

転勤は、行く先や回数はそれぞれの家族によって異なりますが、基本的な子育てにおける不安や意識は共通しているのではないでしょうか。

呉さんの体験談や心がけは、とても参考になりますね。

【取材協力】呉 由香さん

Encourage House代表
キャリアデザインコーチ、MCS認定マザーズティーチャー、PAA認定パートナーシップコーチ。元宝塚歌劇団。
日本生産性本部で企業研修企画や講師を務めたのちに、2017年に独立。現在は夫の転勤に伴い、上海で三児の子育てをしながら、駐在妻や子育て中ママのキャリア支援をライフワークとして展開中!

ライター。美容、健康、グルメなど、今ドキ女性が気になる情報をお届けしています。素朴な疑問を調査したり、専門家に聞いたりして、分かりやすく読者に伝えるのがモットー。