『キャロル』

名女優ケイト・ブランシェットと『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラが共演する映画『キャロル』の予告編映像が公開になった。本作はその完成度の高さからすでに多くの映画賞の候補になっているが、90秒の予告編でも、その映像の奥深さ、俳優たちの繊細な演技、心に深く刺さるストーリーの一端を垣間見ることができる。

予告編映像

本作の主人公は1950年代のニューヨークで暮す女性キャロル(ブランシェット)とテレーズ(マーラ)だ。裕福に暮らし、愛する娘に恵まれるも、夫との関係は冷え切っているキャロルにはどこか影があり、謎めいた雰囲気をまとっている。一方のテレーズはジャーナリストになりたいという夢を抱いているが志半ばで、不機嫌そうな表情を浮かべては高級百貨店の玩具売り場でアルバイトをしている。映画はそんなふたりが偶然に出会い、語り合い、お互いを知り、それぞれが予想もしなかった状況に巻き込まれていく様を繊細なタッチで描いている。

公開された予告編は百貨店でのキャロルとテレーズの出会いに始まって、ふたりが距離を縮め、共に旅に出る過程が描かれる。興味深いのは、ふたりは近づくたびに“自分自身と向き合う”シーンが登場していることだ。キャロルは映像の中盤で「自分がわかってる?」と質問されるが「わかっていない」と即答する。しかし、映像の後半では「心に従って生きなければ人生は無意味」だと宣言する。本作は、キャロルとテレーズが出会い、それぞれが変化し、自身にとって本当に必要なものを見出していく過程を描いていくようだ。

また、1950年代のニューヨークを描いた映像にも注目だ。本作を手がけたトッド・ヘインズ監督はかつて『エデンより彼方に』で、ダグラス・サーク作品のような美しい1950年代を描いたが、本作では16ミリフィルムを駆使して、陰影のある生々しい映像を追求。予告編でも少し粒子が粗く、淡い色とにじみが印象的な映像を堪能できる。

本作はゴールデン・グローブ賞や米アカデミー賞の有力候補という声も多く、今後、本作の名前を目にする機会はさらに増えそうだ。

『キャロル』
2016年2月11日(木・祝)全国公開


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