ミュージカル「ラ・マンチャの男」製作発表記者会見より(画像左から)宮川浩、駒田一、松本白鸚、瀬奈じゅん、松原凜子、上條恒彦。

松本白鸚が1969年の日本初演から主演し続けるミュージカル『ラ・マンチャの男』が今年9月から10月にかけて上演される。6月13日、都内にて製作発表会見が行われ、50周年の記念すべき公演にむけての意気込みを白鸚ら出演者が語った。

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セルバンテスによる小説『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』と、宗教裁判で捕えられた作者セルバンテス自身の姿、現実と虚構から“人間のあるべき姿”を力強く描きだすミュージカル。1965年にブロードウェイで初演され、翌1966年にはトニー賞を受賞した名作だ。日本では1969年に当時26歳だった市川染五郎(現・松本白鸚)が主演、以降も白鸚がライフワークとして上演し続けて、これまでの総上演回数は1265回にのぼる。50年という節目を迎えるにあたって白鸚は「初演から50年の『ラ・マンチャの男』にまた灯がともる。自分にとっては奇跡で、胸がいっぱい」と心境を語った。

長く続いている作品だが、「今年は真新しい『ラ・マンチャの男』になります」と白鸚。その理由を昨年、親子三代で「高麗屋三代襲名」を行い、九代目松本幸四郎から二代目白鸚になったことにかけ、「何しろ、主演俳優の名前が変わりましたので」と茶目っ気たっぷりにアピール。同時に「昨年は松竹で高麗屋三代襲名興行をやりましたが、『ラ・マンチャの男』は東宝での襲名披露興行だと思っている」とも。

『ラ・マンチャの男』と白鸚の偉業は、国内だけに留まらない。1970年にはブロードウェイから招待を受け、名門マーチンベック劇場にて海外の俳優の中で主演し、全編英語のセリフで60ステージをこなした。会見では「亡き中村勘三郎君がNY公演を行ったとき、「兄さん、あなたはこんなところで何十ステージも主演したのか。あなたは歌舞伎界の野茂だ!」と電話をかけてきた」といったエピソードなども披露されたが、「ですが、それらは“思い出”。私はこの先しか見ない。振り返らず、前を見て歩きたい」と、あくまでも前向きだ。

また、これだけ長く続いた理由を問われると「平和だったからだと思う。先日、天皇陛下がご退位なさいましたが、平成の30年間が平和だったから『ラ・マンチャの男』が続けてこられたんだと思う」と、平和への感謝を語り、「この作品はずっと続いてほしい。ドン・キホーテの精神だけはいつの時代にも生き続けてほしい」とこれからも上演が続くことへの期待をしみじみと話してもいた。

共演は瀬奈じゅん、駒田一、松原凜子、宮川浩、上條恒彦ら。公演は10月4日(金)から27日(日)まで、東京・帝国劇場にて。9月には大阪、宮城、愛知でも上演される。