第三回日本舞踊 未来座 彩(SAI)「檜男=ぴのきお=」「春夏秋冬」

日本舞踊協会の新作舞踊公演シリーズ「未来座 SAI」の第三回公演が行われる。

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日本舞踊松本流の家元で、シリーズの立ち上げメンバーでもある歌舞伎俳優の松本幸四郎は、「日本舞踊協会ではもともと2月に古典、7月に新作を上演していて、新作は少しお休みしていたのですが、古典と新作は両輪という考えから、2017年にこのシリーズが誕生しました」と語る。

毎回、SAIに異なる漢字を当てて公演を行う同シリーズ。第一回では「賽」の字を掲げて“水”がテーマの新作4つを上演し、第二回では「裁」として『カルメン』が原作の新作舞踊を再構成して送ったが、今回は「彩」の字のもと、2つの新作を上演する。その1つ目、『=ぴのきお=』は、童話『ピノキオ』を日本に置き換えた作品で、檜の人形=ぴのきおが、様々な人形と出会い、幾多のトラブルを乗り越えて成長する姿を描く。

「皆様に馴染みのある題材ですし、ファンタジーなので、心情や風景、人間ではないものなどを表すことのできる日本舞踊には適していると思います。脚本・演出・振付の西川扇与一さんは新作の経験も豊富な方ですから、日本舞踊にもともとある人形振りという技術を駆使しつつ、新しい踊りを見せてくれるでしょう。檜男のWキャスト、花柳大日翠(おおひすい)さんと藤間爽子さんは対照的な雰囲気なので、見比べる楽しみもあります。語り(録音)で参加する坂東流家元の坂東巳之助さんは、役者の技も使ってくれるはずです」

2つ目は、四季を描いた『春夏秋冬』。京舞・井上流の家元であり人間国宝の井上八千代が未来座に初出演する話題作だ。

「舞踊協会の新作公演に、井上八千代先生が出演するのは初めて。若い舞踊家達から出てきたアイデアで、彼らの熱意が先生に伝わって実現に至ったのだと思います。京舞という踊り、そして先生の芸は、非常に洗練され、それでいてリアルで、素晴らしい。どうやっても届かない憧れであり、だからこそ日本舞踊家として何ができるか考えさせられます。例えるなら、歌舞伎にとっての能狂言のような存在ですね。皆様に堪能していただくのは勿論、若い舞踊家には同じ舞台上でぜひ、色々なものを吸収してもらいたいです」

「日本舞踊にはまだ身体だけでストーリーが展開する舞踊劇が、本当の意味では確立されていない」とし、「書割と共に平面的に進化してきたのが日本舞踊。立体的な群舞を入れるなどして奥行きを使うこともできるし、逆に映像を含め書割にこだわることもできる。まだまだ様々な可能性があると思う」と語るなど、幸四郎の日本舞踊への情熱は尽きない。

「昔は花嫁修業や役者の心得であった日本舞踊も、今ではプラスアルファの特別な世界になりました。着物で踊るカッコよさや美しさを味わっていただき、浮世離れした別世界を楽しんでいただければと願っています」

取材・文:高橋彩子