中国・四川省成都市の新しいハイテク産業パーク、新川創新科技園(SSCIP)

2015.12.4 17:15配信
四川省・成都市の天府ソフトウェアパークからは3kmほどの距離にある新川創新科技園(SSCIP)の本部。シンガポールと中国・四川省が共同開発する初の大規模ハイテク産業パークだ

中国の内陸部で屈指のハイテク産業都市といえば、四川省・成都市だ。なかでも、天府ソフトウェアパークはIBM、NEC、CISCO、DELL、TCL集団、ファーウェイなど、内外のブランド企業が名を連ねる一大ハイテクゾーンになっている。しかし、中国内陸部に進出を考える多くの企業ですでに手狭になってきているのが実態。そこへ、2020年完成を目指した新たなハイテクパークが誕生する。それが、新川創新科技園(SSCIP)だ。

SSCIPはシンガポールと中国・四川省が共同開発する初の大規模ハイテク産業パーク。天府ソフトウェアパークからは3kmほどの距離にある。設立は2012年5月。13年7月に誘致を開始した。これまでに広東省の電気機器メーカー「OPPO」や北京大学の100%子会社でシステム構築大手の「北大方正集団」など16社が入居することになり、合わせて190億元の投資が決まっている。現在も10社以上と契約交渉を進めている。

SSCIPは成都市の中心、天府広場から南におよそ15Km、成都双流国際空港から東に12kmの天府新区に位置する。主にIT、生物医学関連、精密機器、環境関連、金融などの企業の誘致を進めている。社員数はおよそ50名で資本金は18億8000万元。総面積は10.34Km2。25%を産業用地、15%を住宅、10%を商業用地に充て、残りの50%を緑地や道路、公共施設などに充てる計画だ。就業人口は12~15万人、居住人口は12万人を見込む。東京の日比谷公園やニューヨークのセントラルパークのように中心部に大きな公園を配置。それを業種ごとに分けた六つの区画が取り囲むような形で「街」をつくっていく。

成都ハイテク地区管理委員会の完全子会社「成都ハイテク投資グループ」が50%を出資。残りの50%をシンガポールの「SINGBRIDGE」と「SEMBCORP」が25%ずつ出資。開発は「中新(成都)イノベーションパーク開発」が主に担当する。中国の一般的な産業パークとは異なり、一定の理念のもと、能動的に企業に働きかけながら誘致活動を進め、産業を核とする街づくりを展開するのがユニークだ。これはシンガポール資本ならでは。SSCIPのFederick OW 産業誘致GMによると「巣を作って鳳凰を呼ぶ」スタイルだという。

OW 産業誘致GMは「SSCIPは、研究機関や企業の本社機能などを中心としたハイテク産業パークにする計画だ。いい産業パークを作るには産業エリアだけでなく、従業員の生活を考えたプランニングが必要。研究員が多く働くことになるため、労働時間は長くなりがち。近くで買い物や食事ができたり、文化施設でリフレッシュできたりする環境はとても重要だ」と設立の理念を語る。文化施設の一つとして、すでに四川省の文化センターを、中央公園にある人工湖の横に建設することも決まった。

「まず、世界的に有名なブランド企業や大手企業を先に誘致する。その影響力を利用して関連の企業を誘致する作戦だ。ターゲットはまず中国企業を対象に進め、次に、先進性の高いアメリカ企業を狙う。2016年に入れば徐々に建物の建設もスタートするので、徐々に台湾、シンガポール、日本の企業の誘致をスタートさせる」(OW 産業誘致GM)方針。

日本企業に対しては「いまのところ医療関係やゲーム会社への誘致活動を考えている。特にこれからの日本のゲーム会社は、中国向けに日本のゲームをローカライズして販売するという動きが出てくると見ている。例えば、三国志など、中国になじみやすいゲームコンテンツも多い。その上、成都はスマホのゲームの人材が厚いく技術力も高い。日本のゲーム会社にうってつけだ」(OW 産業誘致GM)。

現在、天府ソフトウェアパークに居を構え、システム開発などを行う成都ウィナーソフトの周密 総裁兼CEOは「現在のオフィスが手狭になってきたため、新たに事務所を開いたばかりだが、拠点が分散することでデメリットも多い。しかしソフトウェアパークは飽和状態に近く、広いオフィスを新たに手当てするのは難しい。SSCIPなら拠点を一カ所に集められるため、移転も検討している」と話す。

成都は、ソフトウェア開発や生物医学関連などの人材が優秀で定着率も高く、人材の質としては沿岸部にひけをとらない。しかも人件費は沿岸部に比べ20-30%割安だ。SSCIPは、内陸へ内陸へと進む中国の近代化にあわせて大きく伸びるハイテク産業パークの一つになりそうだ。(BCN 道越一郎)

いま人気の動画

     

人気記事ランキング