『ジョン・カーター』を監督したアンドリュー・スタントン

ディズニーの超大作『ジョン・カーター』を手がけた監督アンドリュー・スタントンが先ごろ来日し、念願の企画だったという本作への思い入れを語ってくれた。

『ジョン・カーター』の原作は『ターザン』で知られる作家エドガー・ライス・バローズのスペースオペラ『火星のプリンセス』。これまでも多くの監督がトライしては挫折を繰り返した原作を、『ファインディング・二モ』などで知られるピクサーのアンドリュー・スタントンが映画化したのだ。「10歳の頃から原作が大好きだった。未知の惑星で出会う、牙があり腕が4本もある一族。そんな彼らとの関係のなかでヒーローとなる主人公。子供心にワクワクしたものだよ。ただ、今回映画化するにあたり、もう一度フラットな気持ちに戻ってその魅力を確かめたんだ。すると、その惑星の原風景には、失われた大陸を発見したような驚きがあったことに気付いた」

舞台は惑星バルスーム。見たこともない未知の土地にもかかわらず懐かしさを感じるのは、その世界の文化が人類のそれをベースにしているからだ。また、原作では地球からバルスームへ、緑色のスモークとともに瞬間移動するジョン・カーターだが、映画ではメダルが移動のアイテムになる。「カーターの移動に関しては、初めて原作を読んだ子供のときから“そりゃないだろう”と思っていた(笑)。今回、真っ先にやったのも、移動にどうリアリティをもたせるかだった。みんなで頭をひねりまくって考えたんだよ」

原作のなかに、映画化したかったが断念した要素はあるのかと尋ねると、こんな楽しい答えが返ってきた。「“火星のプリンセス”ことデジャー・ソリスが初めて登場するシーンは原作では全裸なんだ。でも、これはディズニー映画。断念せざるを得なかった(笑)。とはいえ、バルスームの人々のファッションはディズニー的には露出度も高く、結構がんばっただろ?」

スタントンにとってはこれが初めての実写。これからはアニメと実写、どちらとも手がけるつもりなのか。「それはどうなるかわからない。題材に合わせて選ぶ感じになるんじゃないかな。ただ、実写は思った以上に楽しかったよ」

取材・文:渡辺麻紀

『ジョン・カーター』
4月13日(金) 2D・3D同時公開