トム・ハンクスとスティーヴン・スピルバーグ監督

最新作『ブリッジ・オブ・スパイ』を完成させたスティーヴン・スピルバーグ監督のインタビュー映像が公開になった。幅広いジャンルの作品を手がけ、ヒット作を連発してきたスピルバーグ監督だが、本作の撮影には深い思い入れをもってのぞんだようだ。

スティーヴン・スピルバーグ監督インタビュー映像

映画は、普通の弁護士ジェームズ・B・ドノバン(ハンクス)が、アメリカで逮捕されたソビエトのスパイと、ソ連領空で撃墜され逮捕されたアメリカのパイロットを秘密裏に“交換”するという誰も成し遂げた事が無いミッションに挑む姿を、実話を題材に描いた作品だ。

本作の舞台になった1950年代は、世界が東西の陣営に分かれて争う“冷戦”の時代で、多くの人々が核戦争の恐怖に脅えていた。しかし、人々は、ふたつの世界大戦で多くの犠牲をはらったにも関わらず、相手の陣営を敵だとみなし、憎しみを募らせていた。このほど公開された映像でスピルバーグ監督は、自身の父が仕事で当時のソ連に行った時のエピソードを紹介している。そこで監督の父は、ソ連で起こったある事件に直面し、人々がいかに疑心暗鬼を募らせ、相手の陣営を憎んでいたかを身を持って知る。その事件こそが、本作が題材にしている米国偵察機の撃墜事件だ。監督は父から話を聞き、当時のことが頭から離れなかったという。

スピルバーグ監督は、エンターテインメント大作を数多く手がける一方で、自身のルーツや家族が経験したドラマを積極的に題材に選び、傑作を残してきた。『シンドラーのリスト』では自身のルーツであるユダヤの人々のドラマを描き、『プライベート・ライアン』では、父が命をかけて戦った第二次世界大戦を描いた。

本作も、ふたつの世界大戦から続く憎しみや争いの連鎖が背景として描かれており、平凡な男が奇跡を起こすスリリングなドラマと、監督の深い想いが込められた作品になっている。

『ブリッジ・オブ・スパイ』
2016年1月8日(金) TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー

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