【コラム ―フレームの中で躍動する女優たち―】第7回:「水崎綾女 グラビアからアクションへの華麗なる転身」

2015.12.15 10:00配信
『KIRI-「職業・殺し屋。」外伝-』の水崎綾女 (C) 2015東映ビデオ/エクセレントフィルムズ

 本連載ではこれまで、アクションに挑戦する女優たちを紹介してきたが、最近のテレビドラマを見ていると、女優のアクションが増えてきたことをあらためて実感させられる。「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(フジテレビ系)の菜々緒や「エンジェル・ハート」(日本テレビ系)の三吉彩花など、これまでそんなイメージのなかった女優たちまでもが挑戦するようになってきた。

 

そんな彼女たちに先駆けてアクションに挑戦し、今や確固たる地位を築き上げたのが水崎綾女だ。

 今年6月に公開された釈由美子主演の映画『KIRI-「職業・殺し屋。」外伝-』(DVD発売中)は、殺し屋たちの戦いを描いたアクション作品。釈のほか、連載第5回で取り上げた小宮有紗、志穂美悦子の娘・文音といった女優たちの共演が見ものだ。

 水崎も専業主婦兼殺し屋のシオリ役で出演。監督の坂本浩一は、本作の初日舞台あいさつ(DVDの映像特典に収録)で、水崎のアクションを「安全パイ」と評した。

 坂本監督と言えば、“和製ドラゴン”倉田保昭の下で修業を積み、アメリカで多数の作品に関わった後、「仮面ライダー」、「戦隊」、「ウルトラマン」という3大シリーズのメガホンを取った経歴の持ち主。今や日本のアクション作品の屋台骨を支える存在だ。そんな坂本監督から水崎に贈られた「安全パイ」という言葉は、“彼女に任せておけば大丈夫”という信頼の表れであり、最大級の賛辞と言える。

 だが、もともと水崎はアクションを志向していたわけではなかった。2004年の第29回ホリプロタレントスカウトキャラバンで特別賞を受賞して芸能界入りした当初は、グラビアなどを中心に活躍していた。

 転機となったのが、07~08年に放送された連続ドラマ「キューティーハニー THE LIVE」(テレビ東京系)への出演だった。

 この作品は、正義のアンドロイド、如月ハニーと犯罪組織パンサークローの戦いを描いた永井豪原作のアクションドラマ。深夜枠で放送された本作は、原作にもある“お色気”が重要な要素で、主人公・如月ハニーを演じたのはグラビアアイドルとして人気の原幹恵。水崎が演じたのは、ハニーと同等の能力を持つ“もう1人のハニー”早乙女ミキだった。

 アクションに関しては、原も水崎も初挑戦。事前に2カ月間の練習を積んで撮影に臨んだ結果、ハードなドラマの盛り上がりに合わせるかのように、アクションのテンションも次第にアップしていった。

 この作品でアクションに目覚めた水崎は以後、『アベックパンチ』(11)や戦隊シリーズ第36弾「特命戦隊ゴーバスターズ」(12)などで、力強いアクションを披露していく。

 また、グラビアで人気を集めた抜群のスタイルを生かしたアクションも彼女の強み。女性だけの地下格闘技の世界を舞台にした『赤×ピンク』(14)では、SMの女王兼ファイターのミーコをボンデージ風のセクシーな衣装で演じており、元グラビアアイドルの面目躍如。

 こうして、未経験から本場アメリカ仕込みの坂本監督に「安全パイ」とまで言わしめる実力を身に着けた水崎。今では事務所の公式プロフィールに「特技:アクション」と書くほどで、今後もますます活躍してくれそうだ。

 さて、この連載は今回でひとまず終了。だが、冒頭でも述べた通りアクションに挑戦する女優は増える傾向にあり、『KIRI-「職業・殺し屋。」外伝-』だけでも、釈や文音など、語るべき女優はまだまだいる。

 しなやかさや華やかさなど、男優とはまた異なる魅力を持つ女優たちのアクション。願わくば、1人でも多くの女優がアクションに挑戦し、活躍の場を広げてくれることを期待したい。彼女たちが全力で戦う姿は、見ているこちらの気分を高揚させてくれるし、何よりも、フレームの中で躍動する女優たちの姿はこの上なく美しいと思うからだ。

(ライター:井上健一):映画を中心に、雑誌やムック、WEBなどでインタビュー、解説記事などを執筆。共著『現代映画用語事典』(キネマ旬報社)

『KIRI~「職業・殺し屋。」外伝~』
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●価格:4700円+税
●発売:東映ビデオ

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