子供が複数集まるといさかいが起こります。それが兄弟姉妹であった場合、四六時中、一緒にいる訳ですから、毎日のようにぶつかり合うこともあるでしょう。

でも、ケンカってそんなに悪いことなのでしょうか。また親としての賢い対処法とは?

1人でできる子が育つ テキトー母さん流子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。

きょうだい喧嘩を悪いことだとは思ってはいけない

お友達間では子どもなりに遠慮して、起こり得ない喧嘩もあります。けれども兄弟姉妹は四六時中、寝食を共にしていますからぶつかります。

一人っ子と違って、子どもが複数、家庭の中にいると“玩具の取り合いになり、思い通りに使うことができない”“いきなり兄弟姉妹から奪われる”など、お互い我慢しなくてはならないことも多々。けれども、それで忍耐力や相手に譲る社会性やルールも身についてきます。

どうしてかと言うと“人は人の中でしか育つことができない”からです。

そのため、心配から「喧嘩をしてはならない。いつでも仲良くしなくてはならない」と親が決めつけてしまうのではなく、「人間関係を構築するための訓練をし、成長しているんだ」と考えるようにしましょう。

感情的になり、相手を積み木やブロックで叩くなど、ケガのおそれがある行動に出ない限りは、喧嘩はある程度放っておき、距離を置いて見守りましょう。

親の立場はどっちへ付けばよいのか

それでも、大声を出したり暴力に発展するなど、あまりにもヒートアップしたときは仲裁に入らなくてはなりません。そのときは決してどちらかの肩を持つことをしてはなりません。

これを、大人同士のケースに置き換えてみましょう。

会社で議論するときも、いさかいがあるときも、双方とも「自分の考えが正しい、相手は間違っている」と思っています。お互い自分の意見が“正論”なのです。

そんなとき、上司から「あんたの考えがおかしい」と強い権力を行使され、言われたら不愉快ですよね。

きょうだい喧嘩の対応もこれとまったく同じです。

親がしゃしゃり出てきて「小さい弟を泣かせている兄が悪い」「我儘ばかり言う弟が悪い」と裁判官のように決めつけていると、必ず一方の子は不満や怒りを持ちます。

親が介入しすぎると泥沼化するので、あくまでも中立の立場で両者の言い分をじっくり聞いてやりましょう。

Ⓒあべゆみこ

もし兄が弟を叩いたときは、頭ごなしにいきなり叱るのではなく「なぜ叩いたのか」理由や原因を聞いてみてください。もしかしたら弟の方が先に手を出したのかもしれません。兄が大切にしていた絵本を破ったのかもしれません。

弟にも「なぜ、いきなりお兄ちゃんの絵本を奪いとったのか」を聞きましょう。両者の言い分を聞いているうちに、どちらの子も「だったらどうすればよかったか」を自ら考え、答えを出すようになります。