ビックカメラと日本空港ビルデング(日本空港ビル)は12月17日、羽田空港など国内外の空港内などに両社のノウハウを生かした免税店を展開する合弁会社の設立で基本合意したと発表した。

●月商1億円で年商12億円が目標

合弁会社の設立に向けて、2016年の年明けから協議を開始。出資金は1億~5億円で、出資比率はビックカメラが49%、日本空港ビルが51%とする。合弁会社の名称や所在地は未定だ。

2016年夏までに羽田空港の国際線ターミナルの到着ロビーに100坪(約330m2)の1号店を構える。スタッフは約20人で、ビックカメラで扱う家電製品や時計、医薬品、日用雑貨、玩具、スポーツ用品、メガネ・コンタクト、酒類など数千から1万点のアイテムを揃える予定だ。

同時に、ビックカメラ有楽町店の「免税売れ筋ベスト5」など、訪日外国人に人気の調理家電やビューティ家電などをランキングスタイルで展示する。

「有楽町店で何が売れたかリアルタイムで分かるので、炊飯器やドライヤーなど人気商品をタイムリーに取り揃えられる。狭いスペースをうまく活用していきたい」とビックカメラの宮嶋宏幸社長は語り、都市型店舗の運営ノウハウを注入する。

初年度の目標売上高は12億円。1か月の坪当たり売上高を100万円とし、100坪で月商1億円を一つの指標に据える。

「訪日外国人旅行客による売り上げは、ビックカメラの売上高の約10%にあたる400億円だ。足元の11月は前年比1.5倍で、売上高構成比で12%になっている」と宮嶋社長はインバウンドの好調ぶりをアピールした。

店舗には外国語を話せるスタッフを投入する。同社では、訪日外国人旅行客の8割が中国や台湾からの旅行者だという。英語や中国語のほか、フランス語、タイ語、韓国語を話せる社員を充てる。

●ウェブで注文して空港で受け取るサービスも

ビックカメラの各店舗間のシームレスな連携にも取り組む。例えば、入国前や入国後の観光中にスマートフォンからビックカメラのサイトにアクセスして、ビックカメラの各店舗の在庫状況を確認。商品を発注して、各店舗や空港店で受け取れるようにするなど、訪日客の買い物の利便性を高める。

日本空港ビルの設立は1953年。羽田空港のターミナル事業や不動産、物品販売事業などを展開し、65年に国内初となる関税のかからないデューティーフリーショップを開始した。その後も消費税免税のタックスフリーを導入しながら、成田国際空港や関西国際空港など空港型の免税事業に強みを持つ。

合弁会社の設立について日本空港ビルの鷹城勲社長は「中国をはじめとするアジアの旅行客からビックカメラの評価が高い。銀聯カードによる決済のノウハウなども持つ。できるだけ早く開始したい」と高い期待を寄せる。

ビックカメラは7日に中国の家電量販最大手の国美電器と越境ECで業務提携したり、8日にはカラオケショップを展開するシダックスとコラボ店をオープンするなど、インバウンド需要の取り込み策を矢継ぎ早に発表している。(BCNランキング 細田立圭志)