『バトルシップ』に出演した浅野忠信 撮影:鷹野政起

突然ハワイ沖に現れた未知のエイリアンと、日米をはじめとする世界連合艦隊の戦いを描くユニバーサル映画100周年記念作品『バトルシップ』。いよいよ今日から公開された本作でカリスマ性あふれる自衛艦の艦長の役をつかみ、『マイティ・ソー』に続いてハリウッドのSFアクション超大作に出演した浅野忠信に話を聞いた。

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『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が大好きだったという浅野にとって、ユニバーサル映画は子供の頃から胸躍らせてきたエンターテインメントの原点ともいえる存在。とはいえ、「『マイティ・ソー』での経験があったので、あまり肩に力を入れることなく、いい意味で開き直って臨んだ現場でした」と撮影を振り返る。一度の面接を通して浅野を抜擢した監督は『ハンコック』などで知られるピーター・バーグだ。「周りもタッド(浅野のニックネーム)は英語が完全にはわからないんだから、という感じで接してくれるなか、監督だけはどんどん早口の英語で話しかけてくるんです。そして実は日本語のセリフも、監督から“俺には何かわかんないけど、日本語で言ってみろよ!”と提案されて生まれました。とにかくいつも自由でオラオラ系、無茶ぶりばかりの監督で楽しかったですね(笑)」

そんなときに通訳代わりとなり、現場で手助けしてくれたのが共演のテイラー・キッチュ。『ジョン・カーター』でも注目を集めるテイラーと劇中さながらのタッグを組み、ハードな撮影を乗り越えたという。慣れない大がかりなグリーンバックでの撮影は「目の前に何もないのにあたかもあるかのように演じるのは、それこそ役者が最もやるべきことだと思うので、まったく大変だとは思わなかった」と語るが、意外にもサッカーの試合のシーンには苦労させられたという。「実生活でもスポーツなんて全然しないし、仕事でも『バタアシ金魚』の水泳以来ですよ(笑)。練習もしましたが、まったくついていけませんでした。テイラーも監督もすごいスポーツマンなので、空き時間にはアメフトのキャッチボールとかも無理やりやらされて、それも大変でしたね(笑)」

12月公開の『47RONIN』などハリウッド大作への出演が相次ぎ、日本のファンとして気になるのは世界のタダノブ・アサノとしての今後の展開だが、「これまでと同じように、いい“流れ”に乗っていくだけ」と気負いがない。「僕は企画を出して自ら動き、セルフプロデュースするタイプじゃないんだなと、あらためて感じています。ただ、これからどんどんハリウッドの中のアジア人が果たす役割は大きなものになっていくと確信しているので、長い目で粘り強く食らいついていきたいと思っています」

『バトルシップ』

取材・文:細谷美香