『神様なんかくそくらえ』 (C)2014 Hardstyle. LLC. All Rights Reserved.

ニューヨークで路上生活していた経験のあるアリエル・ホームズの実体験を基にした映画『神様なんかくそくらえ』が今週末から公開になる。映画では自身の分身ともいうべきハーリー役を演じたホームズは、本作が初の演技だったが、「カメラの前で緊張することはなかった」という。

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本作で彼女はドラッグに溺れながら、路上生活を送り、恋人イリヤに依存している女性ハーリーを演じている。その破滅的な人生や、強烈なドラマは衝撃的だが、ここに描かれていることはすべて彼女の実体験が基になっている。「母がドラッグユーザーで、ドラッグのために私の面倒を見られなかったのです。10歳までは、おじとおばに面倒をみてもらっていました。母親が精神病とアルコール中毒にもなり、狂気に陥ってしまって本当に大変でした。16歳でイリヤと出会って、それからレイヴをやりはじめました。マンハッタンとニュージャージーを行き来して、イリヤや、今でも良い友人のベンにも会って、レイヴカルチャーを楽しんでいたのですが、住んでいたアパートが焼けてしまって、自分たちで生計が立てられなくなってしまいました。そうして、路上生活をするようになったのです」

そんな折、彼女はジョシュア&ベニー・サフディ兄弟に出会う。別の映画のためにリサーチしていた兄弟はホームズに出会い、彼らのすすめで150ページの自伝を執筆(これらはニューヨーク中のアップル・ストアをまわりながら書かれた)。この原稿が映画の基になった。「映画は本の一部分に基づいて作られているのでほとんど同じですが、本の方がもっと色々な要素が詰まっています。人生には、何回か転換点があると思います。それは人によって2回だったり、10回だったりすると思いますが、私にとってジョシュアと出会って映画ができたということは大きな転換点のひとつです」

撮影に際し、監督たちは当然のようにホームズを主演に据えたが本人は苦労はなかったという。「自分自身を演じるのは大変ではないかとよく言われますが、それは演じようと思うから大変なのであって、私は自分のままでいたのでそんなに大変じゃなかった。カメラの前で緊張することもなかったですね。恐らく、14歳からホームレスとして路上でうろうろしていたからいつも人に囲まれていたし、最近まで生活の中にプライバシーというものがなかったので、そういうことも影響しているでしょう」

本作の演技は高く評価され、彼女はセビリア・ヨーロッパ映画祭で最優秀女優賞を受賞。作品も高評価で、昨年の東京国際映画祭ではグランプリ&最優秀監督賞に輝いている。

『神様なんかくそくらえ』
12月26日(土)より新宿シネマカリテ他にて全国順次公開

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