ネイト ロボティクスの「ネイト Botvac」

ロボット掃除機市場は今や普及期から成熟期を迎えつつある。アイロボット社のルンバを筆頭に、国内外のロボット掃除機が投入され、切磋琢磨して進化を続けている。それでもロボット掃除機の代名詞となったルンバのシェアは高く、どこもルンバの牙城を崩せないでいる。そんな厳しい市場で、シェアを伸ばそうと奮闘しているのがネイト ロボティクスだ。今年10月に竹田 芳浩氏が代表取締役社長に就任。新社長が掲げる戦略を聞いた。

ネイト ロボティクスは、女性が使える家庭用ロボットの開発を目的として、2005年、シリコンバレーで創業した。創業メンバーは、スタンフォード大学の起業家支援制度を利用した3人の学生で、その中にLogitech International(日本名:ロジクール)の創業者の一人であるジャコモ・マリーニがいる。

2014年5月に日本法人を立ち上げ、翌年の10月1日に、竹田氏が社長に就任する。ネイト ロボティクスと竹田新社長との接点は意外なところにあり、竹田新社長は1991年に立命館大学法学部を卒業後、セイコーエプソン、日本ヒューレット・パッカードなどを経て2010年4月にロジクールの代表取締役社長に就任した。ここでロジクールとネイト ロボティクスの創業者であるマリーニ氏の目にとまったのだ。

●製品に自信あり! 親和性の高いユーザーにデモを実施

ネイト ロボティクスのロボット掃除機「ネイト Botvac」シリーズは、レーザーナビ技術「SLAM」を活用した人工知能「Neato Botvision」を採用。独自のレーザースキャナーを搭載し、自分の位置を確認しながら、同時に周りのレイアウトを作成できるSLAMをベースにしている。レーザースキャナーは部屋の明るさや環境に左右されにくい。竹田社長は「カメラのように画像を撮って認識するモデルが他社にあるが、これは真っ暗だと周りを認識できない。ネイト Botvacは真っ暗でも赤外線が障害物を感知するので、問題なく動くことができる」と説明する。

動き出す前にレーザーを照射し、室内を1秒間に360°、1800回スキャン。センサーからの情報を基づき、部屋の形状や家具のレイアウトなどを把握し、規則性のあるパターンで掃除を実行する。効率よく動くため掃除時間を短縮できるわけだ。

「ネイト Botvacは、家具にソフトタッチで当たるので家具を傷つけず、家具の際などをしっかり掃除できる。本体の形がアルファベットの「D」の形をしており、壁ぎわや部屋の角のゴミがしっかり取れる。おはじきを吸い込むことができるほど吸引力が強いが、音は静か」と竹田社長は説明する。

「他社の製品を徹底的に研究し、バランスのよい製品に仕上げた。出来には自信がある」と語る竹田社長だが、ネックとなるのがネームバリュー、認知度だという。

「大手家電量販店で実機の展示して販売している。だが、他社のようにデモを実施することが難しい。デモ機が少ないことと、デモを実施する人件費がかかるためだ」と体力のなさがネックとなっているようだ。そこで、他社と同じように店頭でデモを実施して多くのユーザーにアピールするのではなく、より購入意欲が高いユーザーにアピールをする、という発想を転換させた。

「ペットを飼っている人は、ペットの毛を片付けるため、毎日の掃除が欠かせない。そのため、掃除が負担に感じているはず」と竹田社長は話し、2015年9月19日~21日に名古屋のポートメッセなごやで開催した「ペット博 2015 in名古屋」に出展。ペットを飼っているユーザーの前でデモンストレーションを実施した。

「ロボット掃除機と親和性のあるユーザーが参加するイベントなどに出展し、アピールしていきたい。ロボット掃除機市場でシェア10%取ることが目標だ」と力強く竹田社長は語った。