ポケットモンスター、妖怪ウォッチ、ドラゴンクエスト……数多くの有名タイトルを抱えるゲーム大国・日本。人気シリーズ最新作ともなれば発売日に行列ができるのはおなじみの光景だが、一方で発売日より早くゲームを手に入れる“フラゲ(フライングゲット)”も後を絶たない。

最近では、先月28日に発売されたカプコンのゲーム『モンスターハンタークロス』でもフラゲ行為が見られた。発売2日前の時点で、ネットの匿名掲示板にはフラゲ報告者が登場。ゲーム内容についてネタバレを投下していった。

さらに堂々とプレイ動画を配信するユーザーが現れたり、Twitter上でフラゲを明かしたユーザーに対し同作プロデューサー(小嶋慎太郎氏)本人が「フラゲを自慢しちゃダメだよ」と注意したりするなど、さまざまな動きがあった。

人気ゲームのフラゲは昔からあることだが、近年は動画配信の簡易化、SNSの普及などによって情報発信・拡散のスピードが上がっている。こうした現状もふまえつつ、フラゲに関わる“合法?or違法?”を法律の専門家に尋ねてみた。

フラゲ購入者に法的責任はあるのか?

まずフラゲ購入したユーザー側に責任はあるのか。今回取材に応じてくれたのはアディーレ法律事務所に所属する岩沙 好幸(いわさ よしゆき)弁護士だ。

岩沙氏によれば、フラゲ行為について違法性はないという。

「発売前の人気漫画をウェブにアップロードしたことで逮捕者が出たことはありますが、それは著作権侵害によるものです。ゲームでも漫画でも、発売日より早く購入することそれ自体に問題はありません」(岩沙氏)

では一歩進んで、フラゲによってお金儲けをした場合はどうだろうか。注目度が高い人気ゲームを5,000円でフラゲし、それを熱烈なファンへ発売前に1万円で転売するケースなどだ。

「これも違法ではありませんね。一度購入した物であれば、中古ショップに売るのも個人へ転売するのも自由です。発売日の前だとしても同じことです」(同)

次に、フラゲしたゲームのプレイ動画やキャプチャ画像をネットにアップし、「ラスボスの正体」「ストーリーの結末」など重要なネタバレを発売前に拡散する行為について違法性を尋ねてみた。

「たとえばラスボスをネットに公開する行為が、著作権法的に認められるかどうかという話になります。どの程度の創作性があるかは一概に言えないので、ケースバイケースです。実際のところ『ラスボスを事前公開されたために具体的な損害が発生した』とメーカーが立証することは極めて困難ですから、法的なペナルティは生じにくいのではないでしょうか」(同)

ここまでの話をまとめると、ショップで正規に購入したものである限り、またROMデータを違法アップロードするなど別の法律に抵触しない限り、フラゲ購入者に法的責任はないということになる。