舞台「カードファイト!! ヴァンガード」~バーチャル・ステージ~ (C)ヴァンガードプロジェクト/テレビ愛知 (C)ヴァンガードプロジェクト/テレビ愛知 舞台「カードファイト!! ヴァンガード」~バーチャル・ステージ~ (C)ヴァンガードプロジェクト/テレビ愛知 (C)ヴァンガードプロジェクト/テレビ愛知

都内スタジオに鋭い声が響く。

舞台『カードファイト!!ヴァンガード』~バーチャル・ステージ~ チケット情報

行われているのは舞台「カードファイト!! ヴァンガード」~バーチャル・ステージ~の稽古。それは、“PSYクオリア”の力に溺れ、豹変した大平峻也演じる先導アイチが健人演じる櫂トシキにファイトを挑み、彼らのヴァンガード、ブラスター・ダークとブラスター・ブレードが対峙する場面。

熱のこもったアイチのセリフにあわせて、それぞれのユニットを演じる役者達が剣を激しく交える──ステージ手前にいるふたりと仮組みされたセットの上で戦う2体のユニット、その4人の息がぴったりあってこそ完成する場面。それだけに殺陣の演出は厳しい。アイチの放つ声、櫂の命令をキッカケとした動きが次々と付けられていき、あわせていく。一方、テーブルをはさみ向き合うアイチと櫂は動きを確認しながら互いの位置を確認して調整する。それはとても地道な作業だ。ひと通りの流れを決めたあと、一度、通してやってみることに。

殺陣を手がける清水大輔の掛け声に合わせて、一斉に4人が動き出す……が、初めて通して動くため、殺陣が遅れセリフとずれてしまう瞬間も。「すみません!」「もう一度、お願いします」と声がかかる。そのたびに「大丈夫? よし、行くよ」と応えるアイチ。そこには座長としての気配りがうかがえる。

やがて「……僕が持っていた……強さ?」と自らに問うアイチは、櫂とのファイトによってブラスター・ブレードを取り戻す。二度、三度と動きや立ち位置を確認して、休憩へ。

緊張した空気が一気にゆるむ。セリフを読み合う者、鏡の前で動きを確かめる者、談笑する者、思い思いの時間を過ごす、和やかなひとときだ。

続いての稽古はダンス。全員で『ヴァンガードのテーマ』を歌いながら、振付を決めていく。その内容はとてもていねいで繊細。

振付を手がける當間里美から「今、ふたりはどんな関係?」と聞かれて「この時点では、まだお互いのことを知らないから……」と答えて、考えるアイチ。そんなふうに流れを作り、話しかけたり、くるくると回ったりとキャストの性格や距離を織り込み個別に決めていく。

やがて、アカペラで歌いながら一斉に全員が動き出す……と、景色は一転。バラバラの動きがつながり、互いの関係性が浮かび上がる。すごい。

たくさんのセリフ、いくつもの動き、そこに込められる心。気が遠くなるほど繰り返される、その積み重ねを経て、世界でたったひとつの舞台が完成する。彼らの公演は、2016年1月5日(火)から11日(月・祝)まで、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて。

取材・文/おーちようこ

※TVアニメやコミックスでも人気を博している最新カードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」が初の舞台化。主人公の先導アイチ役を大平峻也が務める。またアニメ版で声優を務める、三森すずこと森嶋秀太がアニメと同じキャラクターでミュージカルに挑戦。

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