スマートフォンやタブレット端末の普及と歩調を合わせて、各キャリアから高速データ通信サービスが次々と登場している。この利用環境として注目を集めているのが、外出先で複数の機器に接続できるモバイルWi-Fiルータだ。手軽に高速インターネットを利用できるモバイルWi-Fiルータの選び方を紹介しよう。

●チェックすべき項目は「通信量制限」と「バッテリ持続時間」

新しい高速データ通信サービスには、NTTドコモの「Xi(クロッシィ)」、ソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G」、イー・モバイルの「EMOBILE LTE」、そしてUQコミュニケーションズの「WiMAX」の四つがある。今回、この四つに対応するモバイルWi-Fiルータを比較する。

まず、通信サービスを選ぶうえでチェックしなければならないのが1か月当たりの通信量制限の有無だ。ドコモ、ソフトバンク、イー・モバイルの3社は通信品質確保を目的とした帯域制限を行っているが、今回は3社の1カ月当りの通信量制限についてチェックしよう。

「Xi」は、現在制限はないが、今年10月から1か月当たりのデータ通信量が7GBを超えた時点で通信速度が128Kbpsに制限される。「SoftBank 4G」も10月から1か月当たりのデータ通信量が5GB超で最大通信速度が128Kbpsとなる。両サービスとも、データ量の超過後に高速通信サービスを利用するためには別途料金がかかる仕組みだ。

これに対して、「EMOBILE LTE」は、1か月当たりの通信量の制限を当面設けず、2014年5月までは月次の上限なしでLTEサービスを利用できる。なお、2014年5月以降は、月間10GBを超える場合に、その月末までの通信速度を制限する。

まずは速度を確認しよう。下りは「WiMAX」以外、75~76Mbpsでほぼ横一列の状態。一方、上りは「Xi」と「EMOBILE LTE」が圧倒的に速い。

続いて、持ち歩いて使う人に必ずチェックしてもらいたいのが、モバイルWi-Fiルータのバッテリ持続時間だ。スマートフォンやタブレット端末といっしょに外で使うことが多いモバイルWi-Fiルータのバッテリ持続時間が短いと、肝心なときに使えないなんてこともある。できれば、日中ずっと使える8時間以上のバッテリ持続時間があると安心だ。

最後に、月々の料金プランと端末価格を確認しよう。各社とも使い放題のプランをピックアップした。「EMOBILE LTE」と「WiMAX」は、月額3880円と導入しやすい料金プランを設けている。月額通信料が安くても、最初に高額な端末を購入する必要があるのでは本末転倒。端末のコストも月額費用に含めて計算する必要がある。「Softbank 4G」と「EMOBILE LTE」は、端末価格が実質無料でサービスを利用できる。

通信速度、バッテリ持続時間、料金プラン/端末価格の三つの項目で高いポイントになったのが「EMOBILE LTE」対応の「Pocket WiFi LTE(GL01P)」だ。「EMOBILE LTE」は通信量による制限がなく、「GL01P」の連続通信時間は9時間と最長クラス。また、コンパクトモデル「Pocket WiFi LTE(GL02P)」もバッテリ駆動時間は9時間だ。現在、対応エリア拡大中の「EMOBILE LTE」だが、3Gサービスの「EMOBILE G4」エリアでも利用できるので、全国の広い範囲でインターネットに接続できる。

●「EMOBILE LTE」の通信速度をチェック!

モバイルWi-Fiルータの基本性能がどれだけよくても、高速データ通信サービスを利用する以上、通信速度が遅いようでは意味がない。そこで実際に「GL01P」を持ち出して、首都圏の複数のエリアでPC、スマートフォン、タブレット端末などを接続してテストをした。

今回は都心2か所、郊外1か所ということで、日比谷、渋谷駅、神奈川県大和市市役所前でテストした。その結果、すべてLTEで接続することができた。

接続テストでは、さすがに高速サービスという通信速度を発揮。手持ちの3G対応のWi-Fiルータ「Pocket WiFi(GP01)」(下り最大21Mbps)と比較したところ、最大下りで約3倍、上りで5倍以上の通信速度を記録した。またLTE対応の「GL01P」は、接続までのスピードや表示が始まるまでの時間が早く感じられ、数字以上の速度を体感できた。その快適さに思わず「GL01P」に買い替えたくなった。

納得できる通信速度、リーズナブルな料金体系、そして大容量のバッテリによる安心感。このすべてを兼ね備えた「EMOBILE LTE」と「GL01P」は、いま、ベストな高速データ通信サービスとモバイルWi-Fiルータだといえるだろう。(デジタル&家電ライター・コヤマタカヒロ)