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ディズニー・パークに「スター・ウォーズ」要素を取り入れるための絶対条件

「スター・ウォーズ」で、いかにお金を生み出すか

ディズニー社は、ルーカスフィルムを、約40億ドルで、傘下に組み入れました。

それだけの大金を払うからには、見返りがあると踏んでいるわけです。

このあたりの状況は、WIREDの記事「ルーカスフィルム、40億ドル。それはディズニーにとって「いい買い物」だった」で、丁寧に説明されています。

ディズニーは、「スター・ウォーズ」シリーズで、様々なメディア展開をし、お金を生み出そうとしています。

もちろんディズニー・パークでの展開も、重要な要素の一つです。

 

残虐シーンが多すぎるSW旧6作

ウォルト・ディズニーは、ディズニーランドを、ファミリーのために作りました。

東京ディズニーシーや、アナハイム「ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー」のように、“大人も楽しめる” に主眼がおかれたパークでも、子どもを排除することはありえません。

ところが、「スター・ウォーズ」シリーズには、子どもには刺激の強すぎるシーンが多すぎるのは、ご存知のとおりです。

ルークもアナキンも、ライトセーバーに腕を切断され(アナキンは最終的に四肢すべてを失い、生身で丸焼けになり、意識のあるまま手術を受ける)、ハン・ソロは生きたまま冷凍されてしまうなど、直接的、かつ、衝撃的な、グロテスク描写が、多々あります。

また、奴隷姿のレイア・オーガナや、アナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラの恋愛(ナタリー・ポートマンが可愛すぎる)なども、幼い子どもに見せるのは、躊躇する親が多いでしょう。

「スター・ウォーズ」をディズニー・パークに持ってくるにあたり、エログロ描写の排除は、ディズニーにとって至上命題の一つだったと言って、間違いないでしょう。

 

残虐描写オールカットの『フォースの覚醒』

我が家の6歳と4歳の子どもたちは、東京ディズニーランド「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」や、EP1〜6のつまみ食い鑑賞で、「スター・ウォーズ」の予備知識は充分でした。

日本語吹き替え版『フォースの覚醒』を見に映画館へ行ったところ、冒頭の集落全滅のシーンや、共和国壊滅のシーンなど、少々恐がる場面こそあったものの、すっかりハマったようです。

BB-8のオモチャや、カイロ・レン、ストーム・トルーパーのマスク、ライトセーバーのオモチャに、飛びつくようになりました。

ディズニーは「スター・ウォーズ」を、親子で楽しめる映画に、すっかり変えてしまったのです。

もはや、ライトセーバーで斬られても、腕が切断されることはありません。

※あくまでも、旧6作のようなエログロ描写、直接的な残虐描写がなくなったというだけで、人は死にますし、銃で撃たれたり、ライトセーバーで斬られたり、怪物に呑み込まれたりはします。子どもの個性によっては、鑑賞に堪えないケースも当然あり得ますので、親の責任において鑑賞させるよう、お願いいたします

お膝元アメリカの、ディズニーランド・リゾートや、ウォルト・ディズニー・ワールドはもちろん、東京ディズニーランドで「スター・ウォーズ」展開する、最低条件は、整ったと言えるでしょう。

 

新生SWシリーズを印象づけるディズニー

実際、ディズニーは、プロモーションのうえで、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を、旧6作とは、意図的に切り離そうとしてきました。

みなさん、ここでいったん、『フォースの覚醒』のプロモーションを思い出してみてください。

『スター・ウォーズ/エピソード7』という表現は、一切見当たらなかったはず。

“エピソード7” ではあるのですが、飽くまでも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』として、私たちにインプットされています。

『フォースの覚醒』には、懐かしい顔ぶれ・要素が登場し、「これでもか」という期待通りの活躍をします。

昔からのファンの満足度も高い仕上がり。

過去作との繋がりをアピールするのは、マーケティング的には王道のはず。

あえてそうしない理由の一つは、過去作とはまったく違う、(ディズニー版)新生「スター・ウォーズ」シリーズを、印象づける狙いがあったのだろうと推察させます。

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