ジョニー・デップとスコット・クーパー監督

ジョニー・デップが実在のマフィア“ジェームズ・ホワイティ・バルジャー”を演じ、彼がFBIと政治家と密約を結び引き起こしたアメリカ史上最悪の汚職事件を描くクライム・サスペンス『ブラック・スキャンダル』が1月30日(土)より公開される。禿げた頭、人を射るような青い目、筋骨たくましい体型……まるでバルジャーが憑依したかのようなデップの風貌とその演技に、全米では絶賛の声があがったと言われているが、メガホンを執ったスコット・クーパー監督は「ジョニーの場合、見かけはいつも演じる役によって変化するけれど、今回最も大きく変化したのは感情的、心理的な面だ」と強調する。

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本作はサウス・ボストンを舞台に、幼なじみとして育った3人の男が、ギャングのボス、FBI捜査官(ジョエル・エドガートン)、有力政治家(ベネディクト・カンバーバッチ)となり、それぞれの利害と欲望のために手を結び、容赦なく悪の道へと突き進んでいく姿が描かれる。主人公として描かれるバルジャーは、あらゆる凶悪犯罪に手を染めた結果、FBIの最重要指名手配犯となり、16年間の逃亡の末、2011年に逮捕され、極悪犯人が収容されるアルカトラズ刑務所やレブンワースの刑務所に投獄された悪名高き人物だ。

“犯罪王”を描くにあたりクーパー監督が意識したのは“本人をそのまま描く”ことだったという。「ギャング映画に登場するギャングはユーモアがあり、人が羨むような人生を送っていることが多いが、今回はそんな事はできない。実際に起こった出来事で、被害者とその家族が存在する。だから最も重要なのは本人をそのまま描くこと。冷淡で、悪賢く抜かりのない、計算高い、金目当ての人間としてね。それを容赦なく描こうと思った」

いよいよ14日にはアカデミー賞候補が発表される。クーパー監督が2009年に手がけた『クレイジー・ハート』で主演のジェフ・ブリッジスが主演男優賞を獲得したが、デップが本作でオスカー候補になる可能性はあるのだろうか?

「誰が候補にあがるかということを判断するのはいつも難しい。ただ強調しておきたいのは、ジェームズ・ホワイティー・バルジャーを知っていてこの映画を観た人たちは、ジョニーはバルジャーの本質以上のものを表現したと言っていたことだ。ジョニー本人がとても心優しい人間だから、映像で観る彼がどれほどかけ離れているかわかると思う。ジョニーはアメリカの国宝のような存在だから、映画製作に関わる同僚たちが、ジョニーが今回、芸歴の転換となりうるほど素晴らしい演技をみせていることを評価してくれるように願っている。彼の成功を心から祈っているよ」。

『ブラック・スキャンダル』
1月30日(土)新宿ピカデリーほか全国ロード

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