東京電力の川崎火力発電所

2016年4月に家庭向け電力小売りが自由化する。新規事業者が続々と参入を表明し、さまざまな料金プランを発表している。関東エリアで、これらの新規事業者の参入を迎え撃つ東京電力が1月7日、新料金プランを発表した。

●新料金プラン ポイントサービスと合わせて最大5%お得に

新料金プランは、一般家庭向けの「スタンダードS/L/X」、大家族など電力使用量が多い家庭向けの「プレミアムプラン」、オール電化を導入している家庭向けの「スマートライフプラン」、夜間の電力使用量が多い家庭向けの「夜トクプラン8/12」など。

なお、従来の「おトクなナイト8/10」「電化上手」「ピークシフトプラン」「夜得プラン」「朝得プラン」「半日お得プラン」「土日お得プラン」「おまとめプラン」などは3月31日をもって新規加入の受付を中止する。

また、新料金プランに加え、電気料金1000円につき5ポイント貯まるポイントサービスを導入する。ポイントはTポイントかPontaポイントに自動的に貯めることができる。このほか、提携先とのセットプランも用意する。

新料金プランでは、現行料金に比べて1%から最大5%割り引く。例えば、1か月の電気代が1万7000円以上の電気使用量の多い世帯は、3月31日までに「プレミアムプラン」の2年契約に加入することで、電気代を大幅に抑えることができる。

具体的には、現在の契約電流が50A、月の平均使用量が700kWhの場合、年間で1万4800円割り引きになる。さらに、付与ポイントと、ウェブサイトからの申込特典、キャンペーン特典などを合算すると2万9300円相当お得になるという。

とはいえ、上記のプランの対象となる世帯はほんのわずかで、東京電力全加入世帯約2000万世帯の1割程度という。大半を占める一般家庭では、付与ポイントやキャンペーンポイントなどを合わせても年1000円程度の割り引きにとどまる。

●21社の提携会社とのセットプラン エリアの拡大も

また、通信大手のソフトバンクや家庭用プロパンガス大手の日本瓦斯など提携先企業とのセット割引も用意する。提携会社はソフトバンク、USEN、ニチガス、川島プロパン、ビックカメラなど21社。提携先は今後拡大していく方針だ。

電力の自由化によりこれまで関東エリアを独占していた東京電力の牙城が崩れることになる。常務執行役 カスタマーサービス・カンパニー・プレジデントの小早川 智明氏は、「関東エリアのシェアは2割程度減ると予測している。そのため、エリアを拡大することで前年実績を伸ばす計画だ」と話し、4月以降は中部電力と関西電力のサービスエリアに進出し、シェア拡大を狙う。1月8日から電話で申し込みを受け付け、1月15日からウェブでも先行予約を受け付ける。

●「スマート契約」導入により電気の使い方の見直しが必須に

新料金プランを利用する際、注意が必要なのが「スマート契約」だ。これまで固定だった基本料金が、実際に使った実績値にあわせて変動するからだ。スマートメーターを各家庭に設置し、使用電力を測定し、過去1年間の各月のピーク電力のうち、最も大きい値を契約電力とする。なお、「スマート契約」の対象は「スタンダードX」、「プレミアムプラン」、「スマートライフプラン」、「夜トクプラン8/12」。

これまでは事前に30A、40Aと契約電流を決め、それ以上使用した場合はブレーカーが落ちる仕組みだったが、「スマート契約」に切り替えることで、契約上の上限がなくなり、好きなだけ電力を使うことができるが、使った分だけ基本料金が高くなる。つまり、冷房を使う夏場や暖房を使う冬場の電力をベースに基本料金が算出されるので、これまでよりも基本料金が高くなる可能性がある。

逆に、家電を使う時間帯を分けるようにすることで、電力使用のピークを抑え、基本料金を抑えることもできる。これからは電気の使い方を見直す必要がありそうだ。(BCN・山下 彰子)