『最愛の子』 (C)2014 We Pictures Ltd. 

「ぴあ」調査による2016年1月15日、16日のぴあ映画初日満足度ランキングは、香港の名匠ピーター・チャン監督が実話を基に描いた親子を巡るミステリアスなドラマ『最愛の子』がトップに輝いた。2位に全世界40か国で翻訳されている児童書を基にクマのパディントンの冒険を描いた『パディントン』、3位に世界で累計2100万部以上を売り上げたベストセラー小説を豪華キャストで映画化した歴史アドベンチャー『千年医師物語~ペルシアの彼方へ~』が入った。

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1位の『最愛の子』は中国で実際に起きた誘拐事件を基に描くヒューマン・ミステリー。3歳で誘拐された息子に3年後に再会した産みの母と、誘拐犯の妻で育ての母、ふたりの母に育てられた息子のそれぞれの愛と葛藤を繊細に描く。観客は「親が子を思う気持ちは重く強いというメッセージを感じた」「親と子はDNAだけのものではないと思った」「育ての親と実の親のどちらにも感情移入して心が揺さぶられた」「どちらの親の立場になってもその気持ちは共感できるし否定もできる」など、“被害者”“加害者”といった関係性を超えた我が子を思う親の愛に共感した一方で、「本当の親との生活で、6歳ながらに幸せなフリをする子どもの姿に感情がこみ上げた」など、親を思う子の姿にも胸を打たれたようだ。

年間20万人もの子どもが行方不明になっている中国の現状を背景に描かれた本作。中国では本作のヒットにより、誘拐された子を買う親も重罪とする刑法改正が実現するなど反響を呼んだ。観客は「中国では当たり前のように起きている日常が表現されている」「中国が抱える現実的な問題が映画から理解できる」「社会批判と共に親と子が抱く無力感なども描かれていてよかった」などの感想を寄せると共に、「ひとりっ子政策が根源にあるのではないか」「最後まで考えさせられた」「観客に問いかけるラストシーンが印象的」など様々な思いを巡らせたようだ。

(本ランキングは、1/15(金)、16(土)に公開された新作映画7本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)