フィリップスは、食材を手早く均一にカットする新しい調理家電フィリップス マルチチョッパー」を2月上旬に発売する。価格はオープンで、実勢価格は1万880円前後の見込み。

「ノンフライヤー」で“揚げ物”、「ヌードルメーカー」で“麺”。手間のかかる調理にこれまでにない新機軸の提案をしてきたフィリップスが、次のターゲットにしたのは、野菜だ。

厚生労働省の調べによると、成人が1日に摂取すべき野菜の量は350gだが、現状の摂取量平均は283.1g。日本人の野菜不足は以前から問題視されている。2015年には瓶にさまざまな野菜をレイヤー状に重ねた「ジャーサラダ」が流行したが、衛生上の問題から現在は下火になっている。

フィリップスが目を付けたのは、サラダの次のトレンドと目されている「チョップドサラダ」。多種の野菜をスプーンですくって食べられるくらいのサイズにカットしたサラダで、火付け役は「ジャーサラダ」と同じニューヨーカーだ。すでに都内には専門店ができるほどで、健康志向の高い人の間で話題になっている。

一見、通常のフードプロセッサーと同じようにみえる「マルチチョッパー」。新しいのは「フードプロセッサーモード」以外に、「チョップドロップモード」を備えていること。これは先述した「チョップドサラダ」をつくるのに適したモードで、さまざまな野菜を同時に均一なサイズにカットすることができる。

それぞれのモードは、食材をカットする刃によって切り替える。「チョップドロップモード」では、刃と合わせて野菜をしきつめるバスケットを用意。バスケットには網目状に穴が空いており、一定のサイズにカットされた野菜はその穴を抜けて、カップの中に落ちる仕組みだ。刃の回転数は約1500回/分と低速なので、必要以上に食材を傷つけることがなく、フィリップスによると、通常のフードプロセッサーより約30%多くの水分を保持して、みずみずしいサラダをつくることができるそうだ。

発表前に開催した試食会では、フードコーディネーターの野川彩氏が実演が行った。

まずは目玉機能である「チョップドロップモード」。驚いたのは、バスケット内に詰めることができる野菜の量だ。通常のフードプロセッサだと、あまりに量が多いと刃が回らない、あるいはカットにムラがでてしまうものだが、「マルチチョッパー」は、隙間がないほどに野菜を詰めてもOK。食材を小さくカットしておく必要がない(玉ねぎならば1/4程度)、食材の堅さを気にせず同時に調理できる、ということも注目すべきポイントだ。

食材を詰め終わったら、本体を被せて、上から軽く押さえる。セットした刃によって自動でモードが切り替わるので、ボタンやダイヤルのようなインターフェイスは一切ない。調理はあっという間で、バスケット内の食材は10秒もたたないうちに細かくカットされた。

あとはドレッシングなどで味を調えて、皿に盛りつけるだけ。スプーンですくってみると、それぞれの食材が均一にカットされていることがよく分かる。水分を保持していることによるシャキッとしたみずみずしさはもちろん、食材によって異なる食感が一噛みですべて伝わってくるのが楽しい。

「フードプロセッサーモード」の性能の高さにも目を引くものがある。コンパクトな本体なので、そこまでパワーがあるようには見えないのだが、刃の回転数は約5000回/分。肉や魚、粘り気のある食材でもしっかりとすりつぶすことができる。

実演では、ミックスジュースを調理した。専用の刃を取りつけ、カップに食材をすべて投入。あとは、「チョップドロップモード」同様に本体でフタをして押さえつけるだけだ。高速回転ゆえに大きな音や振動がたちそうなものだが、予想以上に静音&低振動。まったく気にならないレベルだった。

完成したジュースはドロリではなくサラサラと、コップに注がれた。のどごしもなめらかで、すりつぶし損ねた固形物は一切なかった。

サラダやジュースは、「マルチチョッパー」の活用例の一つにすぎない。本体には、野川氏監修のオリジナルレシピを同梱。和洋問わず美味と健康に配慮した21品目を収録している。ヘルシー志向な人だけでなく、男性や一人暮らしにもニーズがあるとみており、新生活シーズンの需要を見込んでいる(BCNランキング編集部・大蔵 大輔)