昨年末、ある男性国会議員が育休取得を表明しました。すんなり取得できるかと思いきや、事態は複雑で……。
皆さんもご存じかと思いますが、ある議員がこれを批判したことで、国会議員は育休を取得すべきか否かで論争が巻き起こったのです。

最近では、部下の仕事と私生活の両立に配慮した「イクボス」が登場し、子育て世代にとって良い流れだったのですが、この論争でまた「育休」というものが難しいテーマとなってしまいました。いつになったら、親としての当然な欲求を、自由に表現できるようになるのでしょう。

そして、これから親になる女性にとっては「マタニティーハラスメント(以下マタハラ)」という大きな問題がのしかかります。今回の国会議員のニュースを我が事のように見ていた人もいるのではないでしょうか。

働く女性を不安にさせる、マタハラ被害の数々

「堕ろす覚悟で働け」

「相談なしに妊娠するな」

「だから女性は雇いたくなかった」

「堕ろすのは簡単。10数えたら終わっている」

「妊娠するとわかっていたなら、君なんか雇わなかった」

愕然とするような言葉ですが、これらは実際にマタハラの現場で投げかけられているもの。
女性にぶつけられる言葉は、なんてひどいのでしょう。

2014年にユーキャン新語・流行語対象のトップテンに入ったことから、このマタハラという言葉は一般的になりましたが、言葉が浸透しただけであって、この問題が解決したとは言いにくいものがあります。

マタハラとは、働く女性が妊娠・出産・育児をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、また、解雇や雇い止め、自主退職の強要など、不当な扱いを受けることを指します。

2013年の日本労働組合総連合会の調査では、セクハラの17%を上回る25.6%がマタハラ被害を受けたとのこと。2015年の発表でも20.9%が被害を受けています。

セクハラよりも数字の大きいこのマタハラという問題、もう少し大きく取り上げる必要がありますし、また、解決しなければならない問題でもあります。

世界を動かした、勇気ある日本女性とは

そんななか、政府もこのマタハラ問題に対して対応に乗り出しました。企業の就業規則でまずこのマタハラを禁じ、相談窓口の 設置、社員研修の実施などを求め、違反した企業名は公表する。今国会で関連法を改正し、2017年4月からの実施を目指しています。

また、この問題の解決の早期化に拍車をかけたのは、この問題に真正面から向き合う女性・小酒部さやかさんの存在があったのかもしれません。