マタハラに関する法律はあっても、現在はまだ罰則というかたちで対応されることはほとんどありません。また、労働局雇用機会均等室は機能しておらず、司法の場に行けば会社側からのセカンドハラスメント(人格攻撃)が待っているのです。勝訴したとしても解決金はとても低いのが現状です。

まったく制度が整っていない。それが日本のマタハラに関する今の環境なのです。

小酒部さんは、日本の労働者には頼りになる武器はないと認めています。しかし、唯一戦える方法があると言います。

「たった一つだけ方法がある。これが唯一の武器で、これしか望みはないんだ。日本には“恥の文化”があるんだ。マタハラ=恥ずかしいと思わせること。マタハラ=恥という文化をつくること。
幸いマタハラは感染力の高い伝染病だ。グラデーション化して広がっていく。企業は風評被害を恐れる。風評被害が起これば、商品やサービスは売れず、優秀な人材は、集まらなくなり、企業のイメージダウンは計り知れない。
日本の場合は、もはやここしか方法はない。そして、今はSNS社会なのでいくらだって拡散していく」 出典(『マタハラ問題』小酒部さやか/筑摩書房)

極端な方法ではありますが、こういった土壌をつくるために、やはり声をあげる必要があるのです。泣き寝入りこそ、何の問題解決にもならず、その課題を未来に残していくことになるのです。

もちろん産休・育休を取得する本人だけでなく、家族、会社、社会の問題として、日本のマタハラ問題は早急に解決する必要があります。