ヤマダ電機の山田昇社長兼執行役員CEO(最高経営責任者)は1月27日、子会社のコスモス・ベリーズの創立10周年を記念する「大新年会」で、今後の成長戦略について講演した。

●売上高は5年で11%の微増、利益重視の経営へ

山田社長は「(ヤマダ電機が持つ)約5000万人のプラットフォームと店舗の強みを生かして、売上総利益を劇的に変える」と宣言。物販だけではないソフトやサービスの提供で、インセンティブなどが得られる収益性の高いビジネスモデルに転換する必要性を説いた。

昨年11月に発表したヤマダ電機の中期経営計画では、2020年3月期の売上高は1兆8550億円、売上総利益は5560億円の目標を掲げる。売上高は15年3月期比で111.5%と、同社のこれまでの成長戦略からすれば微増だ。一方で、売上総利益率(粗利率)は約30%と高い目標を設定。足元の16年3月期も、粗利率28.8%を予想する。

「(家電量販店は)物販による差益だけで粗利率3割は達成できない。ソリューションサービスで利益率を上げる」と、これまでのスケールメリットを生かした価格の安さを売りにする戦略だけでは、利益率の向上に限界があるとの認識を示した。

●3か月で「おせち料理」を5億円販売

山田社長が掲げるソリューション事業とは、スマートハウスやリフォーム、アウトレットや買取によるリユース事業、暮らしのサポートサービスなどを指すが、それだけではない。

一例として、リアルの店舗とバーチャルのEC(電子商取引)の融合による「おせち料理」の販売を挙げた。

年末年始に店頭やECサイトの「ヤマダモール」などで展開している「おせち料理」の通販は、3か月で5億円の売り上げがあったという。「店舗があるからこそ、バーチャルとリアルの融合ができる」(山田社長)。

インターネット通販については「無視できない。否定せずに利用するべき」と語り、Amazonや楽天はユーザー層がオーバーラップするが、ヤマダモールのユーザーは購入単価が高くバッティングせず、すみわけができるとの自信をのぞかせた。

●桑野新社長も出席

会場には4月1日に社長兼執行役員COO(最高執行責任者)に就任する桑野光正常務も出席。山田会長、一宮副会長兼執行役CEOの3トップの役割についてあらためて言及した。

山田会長が先のソリューション事業を含む新市場の開拓を担い、一宮副会長が現在行っている構造改革を徹底し、桑野社長が既存ビジネスの推進と人材育成に注力する。 (BCN・細田 立圭志)