「子育てに正解はない」とよく言いますが、世の中には「正解」を指南する情報があふれています。そのため、子どものためになりそうなものを追い求めてはいませんか?

そんな母親たちに「何を与えてあげればいいかは、お子さんをしっかり観察していれば見えてきます」と著書で語るのは、新刊「頭がいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介さん。

「子どもの能力を伸ばすために重要なのは、9歳前後までの育ち方」との言葉もあり、本書は幼児期から9歳前後の子どもを持つ親に向けてのメッセージとなっています。

子育てで親が一番気になることのひとつは、どうすれば子どもが自ら学び伸びる人間になるのか、ではないでしょうか。今回は、そのために親ができることは何なのかを本書からお伝えしたいと思います。

「認め」「見守り」「待つ」「期待する」ことが重要

著者の小川大介さんは2000年に中学受験専門のプロ個別指導塾を設立し、長く代表を務めた、中学受験のプロフェッショナル。さらに5000組を超える家庭と面談を重ね、学習の進め方について指南した経歴の持ち主です。

その経験の中で小川さんが気付いたのは、「教育に良さそうなものをたくさん与えられ、手取り足取り面倒を見てもらってきたお子さんは、中学受験前の小6になって伸び悩んでしまうことが多い」という事実。

子どものためを思ってあれこれと与えることが、時に逆効果となってしまうのです。

この時期の子どもに必要なのは、ありのままの子どもを「認め」、「見守り」、「待つ」こと。小川さんはこれらの3原則を総称して「見守る子育て」と呼んでいます。

さらにプラス1で「期待する」。これは3原則ができないうちから期待をかけてしまうとプレッシャーとなるので、まずは3原則が先。期待はそのあとのステップとなります。

そして本書の中で小川さんは、子育て中の親に「最近のお子さんの口ぐせは何ですか?」「朝起きてから最初に、どんな行動をとっていますか?」「どんな遊びに熱中していますか?」と質問を投げかけます。

さて、皆さんはこの質問にすぐ答えられるでしょうか?意外に答えられない方も多いのではないでしょうか。

「これからの時代における頭のいい子とは、自分の強みを社会で発揮できる子」と、本書で小川さんは提示します。

強みを発揮できる子に育っていくには、まず親は子どもが熱中していることを把握し、その能力を伸ばすように関わることです。苦手分野を克服しようとするよりも、子どもの「好き」を伸ばすことがはるかに重要なのです。

これからの社会はいびつな子が力を発揮する

とはいえ親としては子どもに苦手分野があると、克服できるようにあれこれ口を出したくなるもの。特に親世代が受験生だった頃は、苦手科目がなくどの教科のテストも高得点を取る子どもが「頭がいい」とされてきましたが、時代は確実に変わってきています。

誰もができることは、近い将来AI(人工知能)が代わりにやってくれるようになります。

その結果、「不得意なことはからきしダメだけど、得意なことはとことん得意という、いわば『いびつ』な人こそが、これからの社会で力を発揮しやすいのです」と本書で小川さんは語っているのです。