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 現代アメリカが抱える住宅問題を背景にした社会派サスペンス『ドリームホーム 99%を操る男たち』が公開された。

 フロリダに暮らす平凡なシングルファザーのナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、不況のあおりを受けて失職。住宅ローンを滞納し、自宅から強制退去させられる。

 何としてでも家を取り戻したいナッシュは、自分たちを追い出した悪徳不動産ブローカーのカーバー(マイケル・シャノン)に雇われ、法の網の目をくぐりながら、自分と同じような境遇の人々の家を差し押さえて大もうけをするという悪事に手を染めていく。

 本作は、2008年に起きたリーマン・ショックの引き金を引いた、アメリカの低所得層をターゲットにした住宅のサブプライムローン問題を基にしている。その際、実際に自宅を没収された一般市民に取材し、住宅の差し押さえや強制退去の生々しいシーンを再現した。

 また「99 HOMES」という原題は、「世界の中の富の4分の1をたった1パーセントの最富裕層が所有し、残りの99パーセントの人々は貧困である」という説を唱えた、経済学者ジョセフ・E・スティグリッツの著書『世界の99%を貧困にする経済』から取られている。

 それだけに、貧困層から成り上がったカーバーがナッシュに「アメリカは負け犬に手を差し伸べない。この欺瞞(ぎまん)の国は、勝者の勝者による勝者のための国だ」「ノアの箱舟に乗れるのは100人に1人だ。他は溺れ死ぬ」とうそぶくシーンが象徴的に登場する。

 そして、それが悪事と知りながら、金の誘惑に負け、カリスマ性を持った悪党に引かれていく若者という図式は、株式の世界を描いた『ウォール街』(87)のマイケル・ダグラスとチャーリー・シーンの関係にも似ているし、ラミン・バーラニ監督はこの自作について「悪魔との取引についての物語だ」と語る。

 その言葉通り、本作は、途中まではピカレスクロマン(悪漢が主人公の物語)として引っ張りながら、やがてナッシュの悩む姿とカーバーの没落を通して、アメリカが抱える住宅や貧富の問題を浮き彫りにしていく。

 『スパイダーマン』ではない等身大の男を演じたガーフィールドと魅力的な悪役を演じたシャノンの妙演が心に残る。(田中雄二)