濱田めぐみ  撮影:石阪大輔 濱田めぐみ  撮影:石阪大輔

『CATS』『オペラ座の怪人』を生んだアンドリュー・ロイド=ウェバー作曲のミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』が6月、日本で初めて上演される。1982年にロンドン初演、その後ブロードウェイでもヒットを飛ばした本作は、愛と夢を求めてNYへやってきた英国女性の自立を描いた一人芝居。サラ・ブライトマンをはじめとする、世界の名だたる女優たちが演じてきた珠玉のソロ・ミュージカルだ。その日本初演に、女優活動20周年を迎えた濱田めぐみが挑むこととなった。

ミュージカル『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』チケット情報

「まず最初に“ロイド=ウェバーさんの作品なんだ!”という点に心惹かれたんです。また、よく耳にしていた楽曲がこの作品のナンバーだったということもあり、やろう!と意気込んだんですが……。ん? これって一人芝居なんだ…、一人って大変じゃないの!? って後になって気づいて、焦り出しちゃって(笑)」主人公の女性エマを「普通に悩んで、恋愛して、失恋して、自分を見つめ直して、夢に向かってもう一度行こう!とする、本当に普通の女性」と分析し、自身にとっては「その普通がこれまでにないチャレンジ」と真摯に見据える。

「今までは私、ケッタイな役を演じることが多かったじゃないですか(笑)。だから逆に新鮮だし、遠い役でもあるんです。舞台の上が私の日常だったから、普通のことを舞台上でやるというのは、私にとっては普通じゃないんですよ。とても共感するし、頭で理解はできるけれど、その状況をわかってもらえるように演じるのは大変なこと。ロイド・ウェバーさんの素敵な曲の流れに乗って、なんとかこの女性のリアリティを優しく、ふんわりと描きたいなと思っています。彼女が傷つきながら経験することによって、観客の皆さんも見ぬ振りをしていた自らの傷を認め、それをひとつ乗り越えていく。そんな流れになるといいな」

演出・翻訳・訳詞を担うのは、濱田が「劇団四季時代からの仲間」と信頼を置く演出家、市川洋二郎だ。オリジナル戯曲が持つメッセージをダイレクトに伝えたい、その合意から共同作業がスタートしたという。「彼もいろいろと試してみたいものがあると思う。少人数のチームだからこそできる挑戦だと思います。曲負けしないようにしないと~!」とチャーミングな笑顔で奮起一発。いくつものグランド・ミュージカルで輝きを放ってきた濱田めぐみが、プライベート・ルームで素顔のつぶやきを繰り広げる。そんな愛おしい瞬間が詰まった作品に出会えそうだ。

「観終わった後、明日への一歩を踏み出す勇気がわいて、さっぱりした気持ちになっていただけたら嬉しいですね。私にとっても、何かあった時に曲を歌ってみたいな…と思う、いつもそばに置いておきたい作品になるような気がします」

公演は6月10日(金)から26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。チケットの一般発売は2月13日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行を実施中、2月3日(水)午後11時59分まで受付。

取材・文 上野紀子