『オデッセイ』特別試写会で握手を交わす野口聡一氏とマイケル・E・フォッサム氏

アカデミー賞7部門ノミネートの『オデッセイ』の特別試写会が2月2日(火)、米国大使公邸で開催。元宇宙飛行士の山崎直子、JAXA宇宙飛行士の野口聡一、NASA宇宙飛行士のクリス・キャシディ、マイケル・E・フォッサムが参加しての質疑応答も行われた。

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リドリー・スコットがマット・デイモンを主演に迎え、無名作家がウェブサイトで発表し、大ベストセラーとなった小説を映画化。火星にひとりで取り残された宇宙飛行士の孤独なサバイバルを迫真の映像と緻密な人間描写で描いていく。

米国大使館を代表して挨拶に立ったキャロライン・ケネディ駐日米国大使は、NASAとJAXAのパートナーシップと宇宙飛行士たちの勇気称えつつ、自身の父であるケネディ大統領がアポロ計画を推進した点に言及。「父が月面着陸を進めたのは、その計画が簡単だったからではなく困難だったから。火星にひとを送るというのは危険かつ偉大な冒険。ここにいる誰かがいずれそれを実現してくださるのを期待しています」と語った。

学生たちからは、映画の内容にちなんだ宇宙飛行士としての活動や宇宙での生活について、また宇宙や地球の起源の謎についてまで様々な質問が飛ぶ。受験を控えた高校生から「困難やトラブルにぶち当たった時に大切なことは?」という問いに野口氏は、「大事なことは2つ。まず自分の能力を信じて冷静さを保つこと。焦ったり気持ちをダウンにして、できるはずのことができないのを避ける。2つ目は仲間と頑張ること。この映画は、主人公が秀でているように見えて、実はチームワークを描いてます。僕らの宇宙飛行もそうで、多くの仲間が支えてくれて乗り越えられるんです」と語った。

この質問に限らず、野口氏も山崎氏も仲間の大切さ、チームワークの重要性をたびたび説く。山崎さんは自身のモチベーションを「メンバーの笑顔です。いい仕事をすれば笑顔で迎えてくれて、それが力になります」と語った。また宇宙から帰って大きく変化したことについて山崎氏は「風の匂い、緑や木々の匂いに心が動きました。自然があることを当然と思っていたけど、それは当たり前ではなく、いろんなバランスで成り立っていると感じ、感謝が大きくなりました」と明かした。

また、宇宙飛行士だけでなく一般の人が宇宙に行けるようになる可能性についてキャシディ飛行士は「私たちが活動している時代は無理かもしれませんが、将来的にはそうなると思います。ライト兄弟も人類が国際宇宙ステーションで17年も過ごすとは思ってもいなかったでしょう」と語った。

最後に野口さんは若き学生たちに「みなさんの未来が宇宙と共にあることを期待してます!」」とエールを送り、トークセッションは幕を閉じた。

『オデッセイ』
2月5日(金) TOHOシネマズスカラ座ほか全国ロードショー