「おまえはもう死んでいる」
発言者:ケンシロウ/『北斗の拳』

世紀末救世主ケンシロウの決めゼリフ。これは本物なのだが、原作コミックを紐解いてみると、厳密には一度しか発せられていないことが分かった。

そんなはずはない。いろんなシーンで見かけたはず……という人のため、似たようなセリフを引用してみよう。

「その男はすでに殺してある」
「おまえはもう死んでる」
「きさまはすでに死んでいる」

このように、微妙に言いまわしが違っているのだ。

ちなみに『北斗の拳』のセリフにまつわる話題として、拳王(ラオウ)の一人称がころころ変わっていたこともネットでは有名だ。

南斗水鳥拳のレイがラオウと遭遇するシーン。わずか1ページの間に、ラオウの一人称が「おれ」「わし」「わたし」と3つ出てくるのだ。コラ画像と思ってしまう人も多いだろうが、れっきとした本物。まだ序盤でキャラクターが固まっていない時期だから起こりえた珍事であろう。物語が進むうち、一人称は「おれ」に統合されていった。

「働きたくないでござる!」
発言者:緋村剣心/『るろうに剣心』

剣心が逆刃刀を握りしめ、真剣な表情で「働きたくないでござる!!! 絶対に働きたくないでござる!!!」と叫ぶ画像がネットに広く出回っている。まさか信じた人はいないだろうが、もちろんコラ画像だ。

ネタ元は剣心を怨んだ雪代縁が、ヒロインの薫を殺しに来るシリアスなシーン。改変される前の本来のセリフは「たとえ巴の本当の魂がお前に微笑んだとしても それだけは絶対に許さんッ!!!」。

これとは別に、志々雄真実と剣心の会話シーンを使ったネタもある。「労働は大人の義務なんだよ」と冷徹に言う志々雄に対し、やはり真顔で「義務であろうと働きたくないでござる」と返すシュールなコラ画像だ。

幕末の英雄に対して風評被害もいいところだが、よく考えてみれば縁も志々雄も、目的のために(善悪はともかく)全力で働いている青年実業家だ。神谷道場に居候している剣心がこのようなネタにされるのも、ある意味仕方ないかもしれない。

とはいえネタにされること自体、剣心という“最強のニート”がファンから愛されていることの証明である。2010年には、この改変セリフをリスペクトしたと思われるボーカロイド曲『はたらきたくないでござる』がニコニコ動画へ投稿され、今なお親しまれている。