2月8日に迎えた中国の旧正月、春節。今年も日本への旅行者が生み出すインバウンド需要による「爆買い」特需が期待されている。デジタル家電市場にも下支え効果が生じているようだ。家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」で前年同期比を比較したところ、デジカメやノートPC、ワイヤレススピーカーといった中国人観光客に人気のデジタル家電が比較的堅調な動きを示していることが分かった。

主要デジタル家電の各分野で、2016年1月の販売台数前年比を算出したところ、デジカメが74.9%、ノートPCが81.6%、ワイヤレススピーカーが103.7%、携帯オーディオプレーヤーが71.0%、液晶テレビが81.4%という結果になった。いずれも前年並みか前年比で2桁割れという苦しい市場環境に置かれている。

一方、今年の春節(2月8日)と昨年の春節(2月19日)1日の販売台数を比較すると、デジカメが86.0%、ノートPCが100.2%、ワイヤレススピーカーが115.3%、携帯オーディオプレーヤーが72.6%と、いずれも1月の前年比を上回った。インバウンド需要とは関係のないと思われる液晶テレビは、70.1%と1月の前年比を大きく下回っていることから、少なからず春節特需が影響しているものと見られる。

中国当局は、海外での「銀聯カード」の現金引き出しに制限を設けたり、人民元から外貨への両替に際しての審査を厳しくしていると言われており、「爆買い」にブレーキがかかるのではとの声も聞かれる。とはいえ、春節に伴う中国からのインバウンド需要が、苦戦の続くデジタル家電市場の下支えをしている可能性は依然高い。(BCN 道越一郎)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。