ニッチ:出会いは…記憶をたどると、最初にBUCK-TICKを知ったのは雑誌の「月刊明星」ですね。そこに「ヤングソング」という冊子が付録に付いてまして。

――通称「歌本」ですね。

ニッチ:そう(笑)。歌本の巻末に小さいディスクレビューが毎月載っていたんです。そこに『SEVENTH HEAVEN』のレビューがあったのを見たのが小学生の時で、そこでちょっと気になって。

でもまだ貸しレコード屋さんに行ける年齢でもなかったので、その後テレビで『JUST ONE MORE KISS』とかがよく流れるようになって、中1くらいに『TABOO』を買ったのが最初ですかね。

――買った決め手は何だったのですか?

ニッチ:もうBUCK-TICKが聴きたくてしょうがなかったんですね。まだ中学生だったし、経済的なこともあってなかなかライブには行けないけど、当時テレビには結構出ていたので、「ミュージックトマト(音楽情報番組)」でPVも流れていたし、その流れで『TABOO』を買って、やっぱり1曲目『ICONOCLASM』に衝撃を受けて。

それまでもお化粧したバンドとか見てはいたけど、明らかに異質な衝撃があったというか、それまでにあまり体験したことがない・・・いわゆる歌メロもないし、リフレイン、繰り返すミニマルな構成で、ものすごい高揚感がある音楽というのは初めての体験で、ドハマりして。

同じアルバムの中に『ICONOCLASM』と『JUST ONE MORE KISS』というすごく尖ったものとすごくPOPなものが同居していて。それでドカンとやられて、そのまま26年くらいずっとファンをやってます。

山川:私の出会いはですね、4歳上の姉が友人からBUCK-TICKのCDを借りてきて、たしか『JUST ONE MORE KISS』かな? 他にはどんなアルバム出てるんだろう?CD出てるんだろう?と思って調べたら、『SEVENTH HEAVEN』のジャケットの裏ジャケに今井さんがパンジーか何かをくわえているのを見て「なんて素敵な人なんだろう」と。

その今井さんに当時小学生の私は一目惚れして、そこからずっと今井さんが好きなんです(笑)。

「今井さんは基本的にポップスの人」(ニッチ)

――次は、皆さんに好きなアルバムを伺いたいと思います。

ニッチ:僕は『TABOO』ですね。「惡の華」に比べてあんまり今振り返られないじゃないですか。だけど、80年代の終わりに日本のバンドが出した有名アルバムとして最高峰なんじゃないかなと。ジャケットも格好いいですし。なので今『TABOO』を褒めたい(笑)。

山川:一番好きなアルバムって難しいんですけど、私は「Six/Nine」かなー。

――『Six/Nine』ってかなり暗いというか、かなりキャッチーではない作品だと思うんですけど、その理由は?

山川:このアルバム、私の中では全然暗くないですよ。『Loop』から『Loop MARK II』で終わる、あのアルバムの全体的な流れが好きなんです。

ニッチ:実はBUCK-TICKのアルバムって1枚も「暗い」アルバムってないんですよ

山川:うん。

――「暗い」っていうのは勿論ネガティブな意味ではないんです、この時期って『darker than darkness -style 93-』も含めて歌詞も死を連想されるというか…。

ニッチ:今井寿さんは基本的にポップスの人だと思っていて。暗いアルバムを作ろうとしていない意図というか、要素が色んなところに散りばめられているんです。

なので、結果的に「ただ暗いアルバム」というのは1枚も作っていなくて、ちゃんとユーモアというべきもの随所に散りばめられている気がしていて。だからあまりダークなイメージはなくて。
ま、暗いんでしょうけどね(笑)

山川:聴いててなんか八方塞がりじゃない感じはする。

ニッチ:しかもオリコン1位ですから。その週、日本で一番売れたアルバムのはず。

山川:『Loop』の出だしとか良いじゃないですか、「感謝したい 心から」って。

――もうすでに暗いじゃないですか!

ニッチ:だって、感謝してるんですよ。暗い話じゃないですよ。

――なんというかその感謝が「遺書っぽい」というか…。

ニッチ:いやいや。いきなり聴いてくれてるリスナーに対して感謝の言葉を述べてます(笑)!

――それは納得がいかない(笑)。

山川:あと、『相変わらずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり』も好きだし、あと、『唄』もPVも含めて好きなんで、すごいロック色も強いアルバムですよね。