ウサイン・ボルトと猫、速いのはどっち?

猫は「時速50kmで走る」と、動物学者の山根明弘さんは自著『ねこはすごい』で語ります。時速50kmって具体的にどれほど速いのかがわかりにくいですが、実はこれ、陸上競技短距離選手の“人類史上最速の男”ウサイン・ボルトさんよりも速いスピードなのです。

ボルトさんがもつ100mの世界最高記録は9秒58(2016年2月時点)ですが、これを時速に換算すると約37kmです。もし、猫とボルトが一緒に走り出したら……。猫にはボルトよりも速く走ることができる能力があることを、私たちは忘れてはいけませんね(最高速を維持できるのはわずか数秒とも言われています)。

どうりで飼い主がいくら本気を出して追いかけても、捕まらないわけです。

人間には到底マネすることのできない「猫の跳躍力」

続いて跳躍力。山根さんの解説によると、猫は身体の高さの約5倍のところまで助走なしで飛ぶことができるとのこと。これを人間に当てはめると、もの凄い身体能力であることがわかります。

ねこのように四つん這いになった状態での人間の体高を60cm程度とすれば、助走なしで3mの高さまで飛び上がることになるねこはすごい

と言います。そんなバカな。人間にはそのような能力を持った人はいないでしょう。恐るべし、猫の身体能力。

猫との“埋めがたい能力の差”に白旗を準備したくなる

猫の動体視力にも人間はおよびません。TVは、コマ送りのように見ることができます。なにせあの猫じゃらしを左右に振った時に、見事に目で追いかけながらチャンスを見計らってパンチを浴びせる猫です。どんなに高速で猫じゃらしを振っても彼らには通用しないことを考えると、猫の動体視力の凄さがわかります。

他にも人間の聴覚の5倍、人間の臭覚の10倍もの能力を持ち合わせているとのこと。これは「たくましい」の一言に尽きますね。

その容姿や性格ばかりが注目されがちですが、猫の能力の高さに改めて驚きます。同書の帯には「動物界最強レベル!?」との文字がありますが、確かに納得。

そんな才色兼備な猫ですが、一緒にいるだけで人間にとても良い効果をもたらすことが、様々な研究から明らかになっています。

アメリカのアレン博士が2002年に発表した研究成果はこうです。犬や猫を飼っている夫婦と、そうでない夫婦を調査(240組)すると、平常心の心拍数や血圧は、動物を飼っている夫婦の方が低いとのこと。また、ストレスを与えた状態で調査しても、心拍数や血圧の上昇が少なく、その後の回復も早いという結果が出たのです。

他にもドイツでの研究は、犬や猫を飼っている人の方が病院への通院回数が少ないとのこと。また、急性心筋梗塞にかかった後の生存率が高いといった発表もあります。

このストレス社会を生き抜くには、猫は頼りになる存在ですね。

猫はやっぱりすごいにゃん。そんなこんなで、2月22日は「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」で、猫の日ですよ。皆さん、ご自慢の猫をこれでもかという程に愛でてくださいね。言わずもがなと思いますが。

<書籍情報>
『ねこはすごい』山根明弘著(朝日新聞出版)